Q923 賃金を変更する方法にはどのようなものがありますか?

 労働者の賃金を変更する方法として、次のものが考えられます。
 ① 就業規則所定の賃金体系・賃金額の変更
 ② 労働協約が適用される労働者については、労働協約所定の賃金条項の改定
 ③ 個別の労働者との間の合意
 ④ 職能資格制度が定められている場合は、個別労働者の資格等級の見直しによる昇格・昇級、降格・降級
 ⑤ 年俸制の労働者については業務成績による個別交渉、合意による変更
 ⑥ 懲戒処分としての減給処分

 ①就業規則を変更する場合、その変更に合理性がなければ、使用者による一方的な賃下げは無効となり、使用者は、従前の就業規則に基づく賃金を支払わなければなりません。
 ④職能資格等級の引下げができるのは、労働者の合意があるか、もしくは就業規則上、使用者に引下げ権限が明確に与えられている場合(例えば、就業規則に「職務遂行能力を評価して、当該資格要件を満たさなくなった場合は、降格を行う場合がある」と規定されている場合)に限られます。
 降格については、④人事上の措置としての降格と、⑥懲戒処分による降格に分類されます。
 ④人事上の措置としての降格は、差別や不利益取扱い禁止の規制に該当する場合を除き、労働者との労働契約を根拠とする人事権の行使として可能です。そのため、一定の役職を解く降格は、労働契約を根拠に行うことができ、格別に就業規則等の根拠規定を必要としません。もっとも、労働契約上、労働者の役職や職位を限定する合意がある場合、その役職や職位を引き下げることについては、労働契約で予定されていないことになるため、使用者が一方的に行うことはできず、別途、労働者の個別合意を得る必要があります。また、一定の役職を解く降格は、経営上の裁量判断に属するものではありますが、その判断は無制限なものではなく、社会通念上著しく妥当性を欠き、権利の濫用と認められる場合には、違法無効とされます。
 ⑥懲戒処分による減給処分は、制裁が過度に及ばないよう、労働基準法上、上限があります。すなわち、1回の事案について、1日の平均賃金の半額をこえてはならず、また、一賃金支払期に複数の事案について減給する場合は、総額がその賃金期の賃金総額の10分の1以内でなければなりません。ただし、この10分の1を超えた部分を次期に延ばすことは認められています。 

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