労働問題903 労働者と合意して賃金減額をする場合のポイントを教えて下さい。

 労働者と合意して賃金を減額することは、労働契約法8条で認められています。ただし、労働契約法12条は、労働契約に対する就業規則の最低基準(強行的直立的効力)を定めており、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効となります。また、公序良俗に反する場合、労働者の承諾の意思表示が詐欺・脅迫によるものである場合も、無効となります。
 最高裁は、労働条件の変更が賃金や退職金に関するものである場合には、変更を受け入れる旨の労働者の行為をもって直ちに労働者の同意があったとみるのは相当ではなく、労働者による同意が自由な意思に基づいてされたと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するかという観点から、同意の有無を判断すべき旨判示しています。
 したがって、労働者と賃金減額について合意をする際には、労働者による同意が労働者の自由な意思に基づいてなされたものであることを客観的に証明できるよう、変更される不利益の内容及び程度、労働者が同意した経緯及びその態様、労働者の同意に先立つ使用者側からの情報提供及び説明の内容に関し、客観的な証拠を残しながら合意を目指していくことが重要です。

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