Q900 懲戒処分としての賃金減額の要件を教えて下さい。

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 懲戒処分としての賃金減額には,減給による場合と,降格に伴う場合があります。
 懲戒処分としての減給は,労務遂行上の懈怠や,服務規律違反に対する制裁として,本来なら当該労働者が現実にした労務提供に対応して受けるべき賃金額から,一定額を差し引くことをいいます。
 懲戒処分としての降格は,労務遂行上の解体や服務規律違反に対する制裁として,労働者の職位や資格を引き下げる場合に行う賃金減額をいいます。
 懲戒処分は,服務規律や企業秩序を維持するために,従業員の企業秩序違反行為に対する制裁罰として課される労働契約上の不利益措置として考えられていますが,その法的根拠に関して,最高裁判例は,労働者は労働契約を締結したことによって企業秩序遵守義務を負い,使用者は労働者の企業秩序違反行為に対する制裁罰として懲戒処分を課すことができるとした上で,懲戒権について使用者が本来的に有する企業秩序を定立・維持する権限の一環ではあるものの,就業規則に明定して初めて行使できるものとしました(フジ興産事件最高裁第二小法廷平成15年10月10日判決)。
 したがって,懲戒処分としての賃金減額を行うには,懲戒の一方法として,賃金を減額し得ることと,その要件と効果について,就業規則に定められている必要があり,その定め方については「減給」により賃金減額することのほかに,懲戒処分たる「降格」に伴って賃金減額することを定めておくことをお勧めします。
 以上のことから,使用者は,懲戒処分として減給する場合には,
① 就業規則上の懲戒処分としての減給に関する規定の存在
② 就業規則上の懲戒事由に該当する当該労働者の行為
を説明できるようにしておく必要があります。ただし,懲戒処分としての減給については労基法91条で限度額が定められており,限度額を超える減給は無効となります。
 懲戒処分としての降格に伴う減給処分を行う場合には,
① 就業規則上の懲戒処分としての降格に関する規定の存在
② 就業規則上の懲戒事由に該当する当該労働者の行為
③ 降格に伴う賃金減額の就業規則上又は労働契約上の根拠
を説明できるようにしておく必要があります。


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