労働問題900 懲戒処分として減給する際のポイントを教えて下さい。
懲戒処分として減給をするためには、周知された就業規則に懲戒事由及び懲戒処分の手段として減給の定めを置いておくことが必要です。
その上で、使用者は当該労働者が懲戒事由に該当する行為をしたか調査します。事実調査の際は、メールや書面等の客観的な証拠を残しつつ行うことが重要です。
調査の結果、懲戒事由に該当する事実が認められ、かつ、懲戒処分の手段として減給が適切であると判断した場合には減給の懲戒処分を行うことを検討します。
検討の際には、減給よりも軽い懲戒処分であるけん責や戒告ではなく、減給を選択することが適切であることを説明できるようにしておく必要があります。つまり、懲戒処分は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、懲戒権を濫用したものとして、懲戒処分が無効になりますので(労働契約法15条)、懲戒事由に該当する非違行為の性質と懲戒処分の重さのバランスを考える必要があります。その際には、会社において過去にどのような事案において減給の懲戒処分をしたかを確認することが有用です。
検討の結果、減給の懲戒処分をする場合には、当該労働者に対して懲戒処分通知書を交付し、懲戒処分を行います。
なお、減給の懲戒処分をする場合には、1回の額が平均賃金1日分の半額を超え、減給の総額を一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えないようにしなければなりません(労基法91条)。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
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