Q889 就業規則の規定がなくても降格できますか。

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 降格には,①役職や職位の降格と,②職能資格制度上の資格や等級の降格の2種類があります。両者の違いは,②職能資格制度上の資格や等級の降格が,賃金の減額を伴うという点です。
 ①役職や職位の降格は人事権が根拠となるので,使用者の裁量的判断に委ねられます。したがって,就業規則に規定がなくても,人事権の行使として,使用者には役職や職位の一方的降格権限があります。裁判例でも,役職の降格について,就業規則の規定の有無ではなく,裁量の範囲を逸脱しているか否かを検討しています(エクイタブル生命保険事件東京地裁平成2年4月27日判決)。
 他方,②職能資格制度上の資格や等級の降格は,賃金の減額を伴いますから,重要な労働条件を不利益に変更する権限行使です。労働条件を不利益に変更する人事権を行使するためには,労働者に人事権が行使されることを予測できるよう明確な根拠規定が必要となります。裁判例では,②職能資格制度上の降格を実施するためには,就業規則の職能資格制度等において降格,降級の可能性が予定され,使用者にその権限が根拠づけられている必要があると述べているものもあります(アーク証券事件東京地裁平成8年12月11日判決)。
 したがって,①役職や職位の降格は就業規則の定めがなくてもできますが,②職能資格制度上の資格や等級の降格は就業規則の定めがなければできません。


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