労働問題887 就業規則に規定がなくても出張を命じることはできますか。
出張とは、通常の就労場所を一時的に離れ、使用者が指定した場所で業務に従事することをいいます。出張は、早期に通常の就労場所に戻ることが前提となりますので、転勤や出向とは異なり、労働条件が変更されるわけではありません。労働条件に変更がない以上、出張命令は単なる労務提供方法の指示に過ぎませんので、就業規則に規定がなくても、一般的な業務命令として労働者に出張を命じることができます。
裁判例でも「出張命令は、一般的に労務指揮権の範囲内に属することであるから、就業規則に根拠を求めるまでもなく有効に発することができる」と述べています(石川島播磨重工業事件東京地裁昭和47年7月15日判決)。
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