労働問題866 就業規則を労働者に不利益に変更する場合、必ず労働者の合意を得なければならないのですか?

この記事の結論
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原則は合意が必要だが、合理性・周知性で例外がある

就業規則で定めている労働条件は、労働者の合意なくして労働者に不利益に変更することはできないのが原則です。例外として、合理性及び周知性の要件を満たせば、個別の同意なく不利益変更ができます(労働契約法10条)。

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合理性は諸事情の総合考慮、周知性は実質的な了知可能性

合理性は、不利益の程度、変更の必要性、変更内容の相当性、労働組合等との交渉状況等を総合考慮して判断されます。周知性は、労働者が実質的に知り得る状態であれば足ります。

 865の記事で解説した就業規則の最低基準効とも関連しますが、会社が業績悪化等を理由に就業規則を変更し、労働条件を引き下げようとする場面では、この変更が有効に成立するための要件を正確に理解しておく必要があります。

 会社側専門の弁護士の立場から、就業規則の不利益変更に労働者の合意が必要かを解説します。

01不利益変更の原則と例外

 就業規則で定めている労働条件は、労働者の合意なくして労働者に不利益に変更することはできないのが原則です。例外として、合理性及び周知性の要件を満たせば、労働者の個別の同意を得なくても、労働者に不利益に変更することができるものとされています(労働契約法10条)。

02「合理性」の判断要素

 「合理性」の要件とは、当該就業規則の変更によって労働者が受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況、その他諸事情を総合考慮して当該就業規則の変更が「合理的」であることが必要です。単に会社にとって都合が良いというだけでは足りず、労働者側の不利益と、変更を必要とする事情との間に、一定のバランスが求められます。

03「周知性」の要件

 「周知性」は、事業場の労働者が実質的に知り得る状態であれば足ります。867の記事で解説する具体的な周知方法(掲示・備付け、書面交付、電磁的記録による周知等)が、この要件を満たすための実務的な手段になります。

04会社側が押さえておくべき視点

 会社側が就業規則を不利益に変更する際には、まず、変更の必要性を客観的な資料(業績データ、市場動向等)で裏付けられるようにしておくことが重要です。また、変更によって労働者が受ける不利益をできる限り緩和する措置(経過措置、代替措置、段階的な実施等)を講じることが、合理性の判断において有利に働きます。

 労働組合や労働者代表との事前の説明・交渉のプロセスを丁寧に踏み、その経緯を記録化しておくことも重要です。可能であれば、個別の労働者から同意を取得する(就業規則変更に関する同意書の取得)ことが、最も確実な方法です。合理性・周知性の要件による変更は、あくまで個別同意が得られない場合の代替的な手段と位置づけ、可能な限り労働者の理解を得る努力を尽くすことをお勧めします。

05よくある質問(FAQ)

Q. 就業規則を不利益に変更する際、必ず全従業員の同意が必要ですか。

必ずしも必要ではありません。原則は同意が必要ですが、合理性及び周知性の要件を満たせば、個別の同意なく不利益変更ができます(労働契約法10条)。

Q. 「合理性」は、どのように判断されますか。

不利益の程度、変更の必要性、変更内容の相当性、労働組合等との交渉状況等を総合考慮して判断されます。

Q. 個別同意を得る方法と、合理性・周知性による変更、どちらを優先すべきですか。

可能な限り個別同意を得る努力を優先することをお勧めします。合理性・周知性による変更は、個別同意が得られない場合の代替的な手段と位置づけるのが安全です。

経営上のポイント 就業規則で定めた労働条件は、労働者の合意なくして不利益に変更できないのが原則です。例外として、合理性及び周知性の要件を満たせば、個別の同意を得なくても不利益変更が可能です(労働契約法10条)。合理性は、不利益の程度、変更の必要性、変更内容の相当性、労働組合等との交渉状況等を総合考慮して判断され、周知性は労働者が実質的に知り得る状態であれば足ります。会社側としては、変更の必要性を客観的資料で裏付け、不利益緩和措置を講じ、事前の説明・交渉プロセスを丁寧に踏むことが重要です。可能な限り個別同意の取得を優先し、合理性・周知性による変更は代替的手段として位置づけることをお勧めします。就業規則の不利益変更は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。就業規則の不利益変更でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日

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