労働問題864 就業規則作成時の過半数代表者を選出する際の注意点を教えてください。

この記事の結論
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使用者の意向による選出は認められない

過半数代表者は、就業規則作成・変更の際に使用者から意見を聴取される者等を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法により選出される者で、かつ使用者の意向によって選出されていない者とされています(労基法90条1項、労基法規則6条の2第1項2号、通達平成11年1月29日基発第45号)。

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会社は選出プロセスに関与・介入すべきでない

労働者間の話合いや持回り決議等に極力関与しない、選任投票等の手続に介入しない、役職者を自動的に選出しない、一部労働者内での選出を避ける、候補者を指名しないという5点に注意する必要があります。

 840・841の記事で解説した変形労働時間制の労使協定など、様々な場面で過半数代表者との合意・意見聴取が必要になります。この過半数代表者の選出手続に瑕疵があると、せっかく締結した労使協定自体が無効となるリスクがあるため、正しい選出方法を理解しておく必要があります。

 会社側専門の弁護士の立場から、就業規則作成時の過半数代表者選出時の注意点を解説します。

01過半数代表者選出時の5つの注意点

 就業規則作成時の過半数代表者を選出する際の注意点は、次のとおりです。

  • 労働者間の話合いや持回り決議等に極力関与しない
  • 選任投票等の手続に介入しない
  • 一定の役職の者が自動的に選出されないようにする
  • 一部の労働者内で選出されないようにする
  • 候補者を指名しない

02法令・通達が定める過半数代表者の要件

 労基法及び通達では、過半数代表者は、就業規則作成・変更の際に使用者から意見を聴取される者等を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出される者で、かつ使用者の意向によって選出されていない者としています(労基法90条1項、労基法規則6条の2第1項2号、通達平成11年1月29日基発第45号)。

 特に重要なのは、「使用者の意向によって選出されていない者」という要件です。人事部長や総務課長といった役職者が、その役職ゆえに自動的に過半数代表者とされるような運用は、この要件に反するリスクが高い典型例です。

03話合いや持回り決議も認められる

 ここにいう「投票、挙手等」には、労働者間の話合い、持回り決議等、過半数の労働者の代表であることが明確に分かる民主的な方法によって選出されることも含まれます(通達平成11年3月31日基発第169号)。厳密な投票・挙手の手続を経なくても、労働者間で話し合って決める、あるいは順に決議を持ち回るといった方法でも、それが民主的な手続として過半数の労働者の代表であることが明確であれば、有効な選出方法として認められるということです。

04会社側が押さえておくべき視点

 会社側にとって重要なのは、過半数代表者の選出プロセスに、使用者側が実質的に関与・介入していないという実態を作ることです。会社が候補者を推薦したり、特定の役職者を暗黙のうちに指定したりする運用は、後に労使協定・36協定等の効力そのものが否定されるリスクを招きます。

 選出手続については、労働者への周知(選出の目的の明示、投票・話合い等の方法の説明)を行い、その過程を記録に残しておくことが重要です。選出後は、選出の経緯(実施日、方法、結果)を書面化し、保管しておくことで、後に選出手続の適法性を争われた場合の備えになります。

05よくある質問(FAQ)

Q. 総務課長を自動的に過半数代表者にしてもよいですか。

認められません。一定の役職の者が自動的に選出されないようにする必要があり、これは使用者の意向による選出とみなされるリスクが高い典型例です。

Q. 厳密な投票をしなくても、話合いで決めれば有効ですか。

有効です。労働者間の話合いや持回り決議等、民主的な方法で過半数の労働者の代表であることが明確に分かる方法であれば認められます。

Q. 過半数代表者の選出手続に瑕疵があると、どうなりますか。

締結した労使協定・36協定等の効力自体が否定されるリスクがあります。選出プロセスへの使用者の不関与と、その記録化が重要です。

経営上のポイント 過半数代表者は、就業規則作成・変更の際に意見を聴取される者を選出することを明らかにした投票・挙手等の手続で選出され、かつ使用者の意向によって選出されていない者とされています(労基法90条1項等)。選出時には、①労働者間の話合いや持回り決議に極力関与しない、②選任手続に介入しない、③役職者を自動的に選出しない、④一部労働者内での選出を避ける、⑤候補者を指名しないという5点に注意する必要があります。厳密な投票でなくても、話合い等の民主的な方法での選出も認められています(通達平成11年3月31日基発第169号)。会社側としては、選出プロセスへの不関与を徹底し、選出の経緯を記録・保管しておくことが、労使協定の効力を確保するうえで重要です。過半数代表者の選出手続は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。過半数代表者の選出手続でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日

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