労働問題781 配転命令の有効性に関する判断要素を教えてください。

この記事の結論
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3つの特段の事情がなければ、配転命令は権利濫用にならない

配転命令は、①業務上の必要性がない、②不当な動機・目的でなされた、③労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる、という特段の事情がない限り、権利濫用には該当せず無効とはなりません。

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これは配転命令権があることを前提とした2段階目の判断

この3要素の検討は、会社に配転命令権があることを前提とした、権利行使の当否の判断です。命令権そのものの有無は、別途、就業規則の規定や個別合意の内容から確認する必要があります。

 配転命令の有効性は、実務上、会社側にとって重要な関心事です。有効性の判断要素を正確に理解しておくことは、配転を実施する際の準備にも、配転命令の効力が争われた際の対応にも役立ちます。

 会社側専門の弁護士の立場から、配転命令の有効性に関する判断要素を解説します。

01配転命令の有効性判断の全体構造

 配転命令の有効性は、755の記事で解説したとおり、まず①会社に配転命令権があるか、次に②その権限行使が権利濫用にあたらないかという2段階で判断されます。本稿で扱う3つの判断要素は、このうち②の権利濫用該当性を判断するための具体的な基準です。

023つの特段の事情(判断要素)

 配転命令については、次の3点について、特段の事情があるといえるかを検討します。

配転命令の有効性を左右する3つの特段の事情
業務上の必要性があるか
他の不当な動機・目的をもってなされているか
労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるか

03特段の事情がなければ権利濫用にならない

 当該配転命令に①から③の特段の事情があると認められない限り、権利濫用には該当せず、配転命令は無効となりません。つまり、権利濫用を主張する側(多くの場合は配転を争う労働者側)が、これらの特段の事情の存在を主張・立証する必要があるという構造になっています。会社側は、業務上の必要性を裏付ける事情を整理し、不当な動機・目的がないこと、労働者への配慮を尽くしていることを示せれば、原則として配転命令は有効と扱われます。

04会社側が押さえておくべき視点

 会社側としては、配転命令を発する前に、この3要素それぞれについて、説明可能な材料を整えておくことが重要です。第一に、配転の目的(人材育成、組織再編、欠員補充等)を明文化し、業務上の必要性を裏付ける資料を残しておくことです。第二に、退職勧奨に応じない従業員への嫌がらせなど、不当な動機・目的と疑われるような配転を避けることです。第三に、対象労働者の家庭状況等を事前に把握し、配転による不利益が著しいものにならないよう、必要な配慮を検討することです。

 これらの準備を尽くしておくことが、配転命令の有効性を確保し、後の紛争を予防するうえで有効です。

05よくある質問(FAQ)

Q. 配転命令が権利濫用になるのは、どのような場合ですか。

業務上の必要性がない場合、不当な動機・目的をもってなされた場合、労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合という3つの特段の事情のいずれかが認められる場合です。

Q. これらの特段の事情は、誰が立証する必要がありますか。

権利濫用を主張する側、多くの場合は配転を争う労働者側が、特段の事情の存在を主張・立証する必要があります。特段の事情が認められない限り、配転命令は有効です。

Q. 配転命令を有効にするために、会社は何を準備しておくべきですか。

業務上の必要性を裏付ける資料の整備、不当な動機・目的と疑われる運用の回避、対象労働者への配慮の検討が重要です。これらを尽くしておくことが有効性の確保につながります。

経営上のポイント 配転命令は、①業務上の必要性があるか、②他の不当な動機・目的をもってなされているか、③労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるかという特段の事情を検討し、いずれも認められない限り、権利濫用には該当せず無効とはなりません。これは、会社に配転命令権があることを前提とした、権利行使の当否の判断です。特段の事情の主張・立証責任は、原則として権利濫用を主張する労働者側にあります。会社側としては、配転の目的を明文化し業務上の必要性を裏付ける資料を残すこと、不当な動機・目的と疑われる運用を避けること、対象労働者への配慮を検討することが、有効性の確保と紛争予防につながります。配転命令の実施は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。配転命令の実施でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日

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