労働問題703 労働審判手続の申立てと訴訟提起を同時に行うことはできますか?

 法令上、複数の紛争解決手続を同時に利用することは禁止されておらず、紛争解決のためにどの手続を選択するかは当事者の自由な意思に委ねられているため、同一の紛争について、労働審判手続の申立てと訴訟提起を同時に行うことは可能です。
 労働審判手続の申立てがあった事件について訴訟が係属するときは、裁判所は、労働審判事件が終了するまで訴訟手続を中止することができます。
 民事保全や支払督促と並行して労働審判手続が係属した場合は、民事保全や支払督促を中止することはできないと考えられます。
 裁判所が、労働審判手続の申立書の記載により、同一の紛争について民事訴訟が係属していることを知った場合、必要に応じて訴訟事件の進捗状況について情報の収集を行うことも考えられます。
 訴訟事件と労働審判事件が並行して審理されている場合において、労働審判に対する異議申立てや労働審判法24条による労働審判事件の終了により労働審判事件が訴訟に移行したときは、二重起訴の状態になるため、後に訴訟係属した訴えは、不適法な訴えとなります(民訴法142条)。この場合、後の受訴裁判所は、原告に訴えの取り下げを促し、原告が訴えを取り下げない場合には、その訴えを不適法却下することになります(民訴法140条)。

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