Q697 労働審判事件が移送されるのはどのような場合ですか?

 労働審判事件の移送については、管轄違いを理由とする移送及び裁量移送の規定が置かれています。

1.管轄違いを理由とする移送
 裁判所に労働審判手続の申立てがされた場合において、その裁判所が労働審判事件の全部又は一部について管轄を有しないときであっても、同裁判所は、その申立てを却下することができず、これを管轄裁判所に移送しなければならないとされています。なお、労働審判手続における管轄違いを理由とする移送については、裁判所が自庁処理をすることは認められていません。

2.裁量移送
 裁判所は、その管轄に属する労働審判事件を受理した場合においても、当事者に便宜であるなど事件を処理するために適当と認められるときは、管轄を有する他の裁判所に事件を移送することができます。労働審判事件における裁量移送については、事物管轄及び土地管轄の双方を有する裁判所への移送のみが認められています。
 「事件を処理するために適当と認められるとき」とは、事件の関係人の住所等の関係から事件処理のために多くの時間と費用を要する場合など、他の手続における裁量移送の要件と同様に考えることができると考えます。また、当事者が専属的な管轄の合意をしている場合でも、裁量移送ができると解されています。
 なお、労働審判事件における裁量移送は、当事者の意見の聴取に関する規定は準用されませんが、当事者の事情を考慮して移送の当否の判断を行うためにも、当事者の意見を聴く機会を設けることが望ましいと考えます。

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