労働問題688 企画業務型裁量労働制を導入するにあたり、労使委員会で決議すべき労働者の範囲及び対象労働者の労働時間として算定される時間について,具体的内容を教えてください。

1.対象労働者の範囲
 「対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者」であって使用者が対象業務に就かせる者(対象労働者)は、対象業務に常態として従事していることが原則です。
 「対象業務を適切に遂行するために必要となる具体的な知識、経験等を有する労働者」の範囲については、対象業務ごとに異なり得るものであり、このため、対象労働者となり得る者の範囲を特定するために必要な職務経験年数、職能資格等の具体的な基準を明らかにすることが必要です。客観的にみて対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有しない労働者を含めて決議した場合、使用者が当該知識、経験等を有しない労働者を対象業務に就かせても企画業務型裁量労働制の法第4章の労働時間に関する規定の適用に当たっての労働時間のみなしの効果は生じません。「労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針」(以下、指針といいます。)では、「例えば、大学の学部を卒業した労働者であって全く職務経験がないものは、客観的にみて対象労働者に該当し得ず、少なくとも3年ないし5年程度の職務経験を経た上で、対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者であるかどうかの判断の対象となり得るものであることに留意することが必要である。」とされています。

2.対象労働者の労働時間として算定される時間
 対象労働者の労働時間として算定される時間について、指針や行政解釈(平成12年1月1日基発1号)は「1日」についての対象労働者の労働時間数として具体的に定められたものである必要があるとしています。他方で、菅野『労働法』(第十版)380頁は、裁量労働制が1日及び1週の法定労働時間の特則として設けられている制度であることから、「1日」の労働時間についてのみならず、「1週」の労働時間についてもみなし時間数を設定できると解すべきとしています。
 また、指針では、「労使委員会においては、みなし労働時間について決議するに当たっては、委員は、対象業務の内容を十分検討するとともに、対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度について使用者から十分な説明を受け、それらの内容を十分理解した上で、適切な水準のものとなるよう決議することが必要であることに留意することが必要である。」とされています。

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