労働問題665 昭和60年から平成21年までの年間労働時間数の推移と背景を教えてください。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると,年間の労働時間数は以下のようになっています。
①総労働時間数(時間)
②所定内労働時間数(時間)
① ②
昭和60年 2110 1932
61 2102 1930
62 2111 1933
63 2111 1922
平成元年 2088 1898
2 2052 1866
3 2016 1841
4 1972 1823
5 1913 1780
6 1904 1772
7 1909 1772
8 1919 1774
9 1900 1750
10 1979 1742
11 1842 1709
12 1859 1720
13 1848 1714
14 1838 1702
15 1846 1700
16 1840 1691
17 1829 1680
18 1842 1687
19 1850 1690
20 1813 1668
21 1777 1643
昭和60年代当時,貿易摩擦の中で日本人の働き過ぎが批判され,政府も本格的に労働時間短縮に取り組まざるを得ない状況が生じていました。この頃の政府の方針を支えたものとして,「前川レポート」(昭和61年4月),「新前川レポート」(昭和62年5月)があります。
前川レポートは,「労働時間の短縮により自由時間の増加を図るとともに有給休暇の集中的活用を促進する。労働時間については,公務・金融等の部門における速やかな実施を図りつつ,欧米先進国なみの年間総労働時間の実現と週休二日制の早期完全実施を図る。」と提言しています。
そして前川レポートをより具体化したものが,新前川レポートです。
新前川レポートは,「政策目標としては,2000年に向けてできるだけ早期に1800時間,1800時間程度を目指すことが必要である。」としており,前川レポートと比べ,より労働時間の短縮の必要性を説いています。
上記の年間労働時間数の推移からも分かるとおり,日本の労働時間数は次第に減少し,平成4年に2000時間を下回り,平成21年,ようやく目標の1800時間の壁を突破することができました。
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