労働問題664 実労働時間主義とはどういうものですか?

 実労働時間主義とは、時間外労働の取扱いの基準を、実際の労働時間に置く考え方のことをいいます。
 労基法は、1週40時間、1日8時間の法定労働時間制を定めていますが、これは、労働者が実際に使用者に労務を提供した時間である「実労働時間」を意味しています。
 したがって、始業時刻に遅刻したり、早退したりした場合には、その時間は労働時間と評価できないことになります。たとえば始業時刻9時、終業時刻18時、休憩時間1時間(拘束時間9時間)の会社の場合、始業時刻に1時間遅刻した者に対して、使用者は、就業規則等に別段の定めのない限り、19時まで働かせることができます。18時から19時までの1時間は時間外労働にはならないため、36協定の締結・届出や、割増賃金(残業代)の支払は必要ないことになります。
 しかし、多くの企業が実労働時間主義を採用しておらず、就業規則に定める始業時刻から終業時刻までの時間以外は、実労働時間に関わらず全て残業と取り扱っています。このため、上記のケースでは、遅刻した時間分を18時以降に働かせた場合は1時間分の割増賃金(残業代)を支払うことになり、1時間分の賃金カットを行わない企業では、1時間遅刻して1時間遅く働いた労働者の方が、遅刻せずに8時間働いた労働者より支給額が高くなることになります。

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