労働問題654 休日に関する法的規制と就業規則規定例【会社側弁護士が解説】
- 使用者は毎週1回以上(または4週4日以上)の休日を付与する義務があり、これを法定休日という
- 交代制勤務の場合は暦日単位でなく継続24時間の休日付与も認められるが、所定要件を満たす必要がある
- 振替休日制度を活用することで法定休日の労働を適法に行えるが、割増賃金の計算には注意が必要
1法定休日の付与義務
休日とは、労働契約上、労働義務のない日のことをいいます。
労働基準法第35条第1項は、使用者に対し、毎週少なくとも1回の休日を与えることを義務付けています。ただし、同条第2項において、4週間を通じて4日以上の休日を与える場合には、週1回の原則を適用しないとされています(変形休日制)。
| 休日の与え方 | 内容・留意点 |
|---|---|
| 原則(週休制) | 毎週1回以上の休日を付与 |
| 変形休日制 | 4週間を通じて4日以上の休日を付与(就業規則に4週間の起算日を定める必要あり:労規則12条の2第2項) |
変形休日制を採用する場合、就業規則に4週間の起算日を明記しないと違法となります。また、4週4日の最低ラインを割り込まないよう、シフト管理を徹底することが重要です。
2休日の原則(暦日単位)と交代制勤務の特例
休日は原則として午前0時から午後12時までの暦日単位の24時間を指します(昭和23年4月5日基発535号)。
ただし、番方編成(シフト制)による交代制勤務の場合には、以下の要件をすべて満たせば、暦日単位ではなく継続24時間の休日付与が認められています(昭和63年3月14日基発150号)。
- 就業規則等により番方編成による交代制によることが定められており、制度として運用されていること
- 各番方の交代が規則的に定められており、勤務割表等によりその都度設定されるものではないこと
24時間稼働が必要な製造業・医療・介護・運輸業などでは、この特例を活用することで合法的なシフト設計が可能です。ただし、要件を満たさない場合は暦日単位の休日付与が求められますので、就業規則・勤務割表の整備が重要です。
3法定休日と所定休日の違い
実務上、法定休日と所定休日(法定外休日)の区別は非常に重要です。
法定休日と所定休日の比較
| 区分 | 定義 | 休日労働時の割増率 |
|---|---|---|
| 法定休日 | 労基法35条で義務付けられた最低限の休日(週1回または4週4日) | 3割5分以上 |
| 所定休日 | 就業規則等で法定を超えて定めた休日(土曜日・祝日など) | 時間外労働と同様(週40時間超分に対して2割5分以上) |
就業規則において、どの曜日が法定休日であるかを明確に定めておかないと、複数の休日が設けられている場合に、どの日の労働が3割5分の割増の対象になるかが不明確になります。週休2日制を採用している企業では、通常日曜日を法定休日、土曜日を所定休日として規定することが多いです。
4振替休日と代休の違い
「振替休日」と「代休」は混同されることが多いですが、法的性質が異なり、割増賃金の発生有無にも影響します。
振替休日
振替休日とは、休日労働をさせる前に、就業規則の規定に基づいて他の労働日と事前に交換するものです。適法に振替休日を設定した場合、休日に労働しても法定休日の割増賃金(3割5分増)は発生しません。ただし、振替により週の労働時間が40時間を超える場合は、その超過分に対して時間外割増(2割5分以上)が必要です。
振替休日の要件:
- 就業規則に振替休日の規定があること
- 休日労働をさせる前に振替日を指定すること(事前振替)
- 振替日は特定されていること
代休
代休とは、休日労働をさせた後に、代わりの休日を事後的に与えるものです。代休の場合、法定休日の割増賃金は発生します。代休を与えた場合も、本来発生した割増賃金の支払いを免れることはできません。
割増賃金の観点から、事前に振替休日を設定する方が会社のコスト管理上有利です。ただし、振替休日は事前の指定が要件であるため、突発的な休日出勤には対応できません。就業規則に両制度を明確に規定し、使い分けることが重要です。
5休日に関する就業規則規定例
休日に関する就業規則規定は、法定休日の明示・変形休日制の採用の有無・振替休日手続きなどを含めて整備することが重要です。以下に規定例を示します。
【就業規則規定例(週休2日制)】
第○条(休日)
休日は、以下のとおりとする。
① 日曜日(法定休日)
② 土曜日
③ 国民の祝日・振替休日
④ 年末年始(12月○日から1月○日まで)
⑤ その他会社が定める日
2 交代勤務を行う部署において、会社は、前月末までに翌月の勤務割表を作成し、4週間を通じて前項に準じ4日以上の休日を与える。この場合の4週間の起算日は、毎年4月1日とする。
3 前各項の規定にかかわらず、会社は、業務上の都合その他やむを得ない事情がある場合には、全部または一部の者について、休日を他の日に振り替えることがある。この場合、事前に振替日を指定するものとする。
振替休日に関する規定例
第○条(振替休日)
業務上必要がある場合、会社は就業規則第○条に定める休日(法定休日を含む)を他の労働日と事前に振り替えることができる。振替は、事前に振替日を指定して行うものとし、振替先は原則として同一週内とする。
2 同一週内で振替が行えない場合は、翌週以降に振替日を設定することができる。この場合において、振替前の週の週労働時間が法定労働時間を超えるときは、超過した時間について時間外割増賃金を支払う。
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監修者情報 弁護士 藤田 進太郎 代表弁護士|弁護士法人四谷麹町法律事務所 第一東京弁護士会所属。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。中央大学法科大学院修了。使用者側専門の労働問題弁護士として、企業の労務管理・労働紛争対応を多数手がける。初回相談は原則として無料で対応。 |
FAQよくある質問
Q1. 週休2日制の場合、どちらの曜日が「法定休日」になりますか?
A. 就業規則に特段の定めがなければ、労基法上の法定休日はどちらでも法律上問題はありません。ただし、休日割増賃金の計算を明確にするため、就業規則で法定休日(たとえば「日曜日」)を明示しておくことが強く推奨されます。
Q2. 振替休日と代休はどう違うのですか?
A. 振替休日は休日労働をさせる前に事前に振替日を指定するもので、法定休日割増賃金が発生しません。代休は休日労働後に事後的に休日を与えるもので、法定休日割増賃金の支払いを免れることはできません。
Q3. 変形休日制(4週4日)を採用する場合、何を就業規則に定める必要がありますか?
A. 就業規則に4週間の起算日を明記する必要があります(労規則12条の2第2項)。起算日の定めがない場合は変形休日制の適用が認められないため、注意が必要です。
Q4. 祝日は法定休日になりますか?
A. 労基法上、祝日は法定休日として定められていません。祝日を休日とするかどうかは就業規則の定めによります。就業規則で祝日を休日と定めている場合は所定休日(法定外休日)として取り扱われます。
最終更新日:2025年5月