労働問題653 休憩時間の規制と就業規則規定例を教えてください。
1 休憩時間とは
休憩時間とは、労働者が権利として労働から離れることを保障される時間のことです(昭和22年9月13日基発17号)。したがって、休憩時間中に来客の対応や電話応対をさせるような待機時間・手待ち時間は労働時間となりますので注意が必要です。
労基法では、休憩時間について、6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間以上の休憩時間を与えるよう使用者に義務付けています。したがって、労働時間が6時間以下の場合は、休憩時間を与えなくても労基法に違反しないことになります。
休憩時間は一度に与えても、分割して与えても、どちらでもよいとされています。例えば、午後0時から50分、午後4時から10分という与え方でも差し支えありません。また、8時間を超えて大幅に残業をした場合であっても、この例のように所定労働時間中に少なくとも1時間の休憩を与えていれば、労基法上の義務違反にはなりません。
2 休憩時間の一斉付与の原則
労基法34条2項では、休憩の効果を上げるために、休憩時間は、事業場単位で一斉に与えなければならないとしており、これを、一斉付与の原則と呼んでいます。派遣労働者についても、この一斉休憩の対象とされています(平成11年1月29日基発45号)。
3 休憩時間の自由利用の原則
休憩時間は、労働者の疲労を取り除き、作業効率を回復させる労働者の権利を保障するものですから、使用者は、労働者に対して、休憩時間を自由に利用させなければなりません(労基法34条3項)。しかし、休憩といっても私生活上の自由時間とは異なり、会社施設内で休息する場合が多く、拘束時間中でもあるため、一定の拘束を受けることはやむを得ません。このため、行政解釈でも「休憩時間の利用について事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩時間の目的を害さない限り差し支えない」(昭和22年9月13日基発17号)としています。また、休憩時間中の外出を許可制にすることについても、「事業場内において自由に休息し得る場合には必ずしも違法にはならない」(昭和23年10月30日基発1575号)としています。
4 就業規則規定例
第○条 休憩時間は,正午から午後1時までの1時間とする。
2 休憩時間は自由に利用することができる。但し,職場の秩序や規律の保持上必要性がある場合にはこの限りではない。
3 前項の規定に関わらず,会社は,業務上の都合その他やむを得ない事情により,休憩時間を繰り上げや繰り下げまたは分割して与えることがある。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
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