労働問題649 裁量労働のみなし時間制の仕組みと適用要件【会社側弁護士が解説】
- 裁量労働のみなし時間制は、専門業務型(19業務)と企画業務型の2種類があり、導入要件が異なる
- みなし時間制でも時間外・休日・深夜割増賎金の支払い義務は免除されない
- 導入には就業規則・労使協定(専門)または労使委員会決議(企画)が必要で、企画型は個人同意も不可欠
1裁量労働のみなし時間制とは
裁量労働のみなし時間制とは、業務の遂行方法や時間配分について使用者が具体的な指示を行わず、労働者の裁量に一任する業務に就かせる場合に、労使協定などで定めた時間労働したものとみなす制度です(労基法38条の3・38条の4)。
裁量労働制には、専門技術等を持つプロフェッショナル向けの専門業務型と、企画・立案等を行うホワイトカラー向けの企画業務型の2種類があります。
裁量労働制は利便性が高い制度ですが、導入要件を満たさずに適用した場合、未払い残業代請求のリスクがあります。導入要件を正確に把握しておくことが重要です。
2専門業務型裁量労働制の要件
専門業務型裁量労働制(労基法38条の3)の導入には、以下の要件が必要です。
- 対象業務:労基法38条の3および専業務企画型裁量労働制が定める19業務(研究開発・情報処理・記事為等)に限定
- 就業規則への規定:対象業務・みなし労働時間・健康確保措置・苦情処理手続き・記録保存を就業規則に定めること
- 労使協定:労働者の過半数代表者との書面協定および労働基準監督署への届出
3企画業務型裁量労働制の要件
企画業務型裁量労働制(労基法38条の4)は、専門業務型より要件が幺違です。
- 対象業務:事業の運営に関する企画・立案・調査・分析・調査業務のなど
- 就業規則への規定
- 労使委員会の設置:之第小希大大で構成される労使委員会を設置し、当該委員会が5分の4以上の多数による決議が必要
- 個人同意:対象労働者個人の同意が必要
- 労務基準監督署への届出
4みなし時間制でも必要な割増賎金対応
裁量労働のみなし時間制が適用されている場合でも、みなし時間が法定労働時間(8時間)を超える場合は時間外割増賎金、深夜に労働させた場合は深夜割増賎金、休日に労働させた場合は休日割増賎金の支払い義務があります。
裁量労働制導入後も健康管理のための労働時間把握等の実務対応が必要です。特に企画業務型は対象者への定期報告が労務基準監督署への届出義務の対象になります。
監修者
弁護士法人四谷麺町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業、2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麺町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麺町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。就業規則・変形労働時間制の導入・整備でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麺町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
FAQよくある質問
Q1. 専門業務型裁量労働制の19業務に当てはまらない業務には適用できませんか?
A. 専門業務型裁量労働制は省令所定の19業務に限定されます。該当しない業務では専門業務型の適用はできませんが、要件を満たす場合は企画業務型裁量労働制の適用を検討できます。
Q2. 裁量労働制を導入すると残業代は一切不要になりますか?
A. そうではありません。みなし時間が法定労働時間を超える場合や深夜・休日に労働させた場合は割増賎金の支払い義務があります。裁量労働制は労働時間管理の特例であり、割増賎金の免除制度ではありません。
Q3. 企画業務型の導入に個人同意が必要な理由は何ですか?
A. 企画業務型裁量労働制は、専門業務型と異なり、労働者個人の同意が必要とされています(労基法38条の4第6項)。導入後もゃ6ヶ月ごとの定期報告等を1ていることが、労務基準監督署への届出事項になっています。
Q4. 裁量労働制導入後の健康管理はどうすればよいですか?
A. 健康確保措置(有給休暇付与・身事相談・作業状況把握)を就業規則等に定め、履行する必要があります。特に長時間労働が疑われる場合は医師による面接指導体制の整備が重要です。
最終更新日:2025年5月