労働問題648 フレックスタイム制の時間外労働時間を計算するにあたって注意すべき点はありますか?

 フレックスタイム制における時間外労働は、清算期間の実労働時間のうち、法定労働時間の総枠を超えた部分になります。
 清算期間における法定労働時間の総枠は、40時間×当該清算期間における暦日数÷7日です。
 したがって、フレックスタイム制における時間外労働時間は、次の計算式で求めることができます。
 時間外労働時間数=清算期間の実労働時間-(40時間×清算期間の暦日数÷7日)
 ただし、上記計算式をそのまま使って計算した場合、次のとおり問題が生じることになります。
 たとえば、月の1日目が月曜日で暦日数31日、週休二日制の場合、
第1週 1日(月)~7日(日)
第2週 8日(月)~14日(日)
第3週 15日(月)~21日(日)
第4週 22日(月)~28日(日)
までは暦日数を7で割り切れるため、法定労働時間の総枠は40時間×歴日数28日÷7日=160時間となり、週法定労働時間40時間の4週分ということになり、こちらは問題ありません。しかし、残りの第5週29日(月)~31日(水)の3日間は、40時間×歴日数3日÷7日=17.14…となり歴日数が7で割り切れず、1日当たりの法定労働時間についても(40時間×歴日数3日÷7日)÷3日=5.71…となり、8時間を下回ることになります。これでは、労基法32条が定める1日または1週間当たりの法定労働時間の規制との均衝がありません。
 そこで、次の要件を満たす場合には、下記の計算方法を用いて時間外労働時間を計算することが認められています。

〈要件〉
① 清算期間を1ヶ月とするフレックスタイム制の労使協定が締結されていること
② 清算期間を通じて毎週必ず2日以上の休日が付与されていること
③ 特定期間(当該清算期間の29日目を起算日とする1週間)における当該労働者の実際の労働日ごとの労働時間の和が週の法定労働時間(40時間)を超えるものでないこと
④ 清算期間における労働日ごとの労働時間がおおむね一定であること

〈計算方法〉
 上記要件を満たす場合、清算期間を平均した1週間あたりの労働時間は下記の計算方法でも差し支えないとされています。
清算期間を平均した1週間あたりの労働時間=(清算期間における最初の4週間の労働時間+特定期間における労働時間)÷5
 したがって、清算期間のうち最初の4週間の労働時間とその翌週から翌月にまたがる特定期間を合わせた5週間を平均した1週間の労働時間が法定労働時間の範囲内である場合には、清算期間の労働時間が法定労働時間の総枠を超えても、法定労働時間以内として扱われることになります。

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