労働問題622 月給制社員の時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金の時間単価の具体的計算方法を教えてください。
モデルケース
月給:基本給25万円
1日の所定労働時間:8時間
年間休日数:130日
割増率の適用猶予対象ではない
1.通常の賃金の時間単価
年間所定労働日数=365日(閏年の場合は366日)-休日130日=235日
年間所定労働時間数=1日の所定労働時間8時間×235日=1880時間
一月平均所定労働時間数=1880時間÷12か月≒156.67時間(小数第三位以下四捨五入)
通常の賃金の時間単価=月給25万円÷156.67時間≒1596円/時(小数点以下四捨五入)
2.割増率
① 1か月の時間外労働時間の合計が60時間以下の場合 2割5分以上
② 1か月の時間外労働時間の合計が60時間を超える場合 5割以上
③ 休日労働 3割5分以上
④ 深夜労働 2割5分以上
⑤ 60時間を超える時間外労働時間が深夜に及んだ場合 7割5分以上
⑥ 休日労働が深夜に及んだ場合 6割以上
3.割増賃金(残業代)の時間単価(小数点以下切り捨て)
① 1か月の時間外労働時間の合計が60時間以下の場合の時間単価
=1596円/時×1.25=1995円/時
② 1か月の時間外労働時間の合計が60時間を超える場合の時間単価
=1596円/時×1.5=2394円/時
③ 休日労働の時間単価=1596円/時×1.35≒2155円/時
④ 深夜労働の時間単価=1596円/時×1.25=1995円/時
⑤ 60時間を超える時間外労働時間が深夜に及んだ場合の時間単価
=1596円/時×1.75=2793円/時
⑥ 休日労働が深夜に及んだ場合の時間単価=1596円/時×1.6≒2554円/時
4.1か月60時間超の猶予対象企業
上記のとおり、1か月60時間を超える時間外労働に対しては、50%以上の割増率で計算した割増賃金を支払う必要があります。ただし、現在、以下の規模に該当する中小企業については、この割増率の適用が猶予されています。
小 売 業:資本金もしくは出資の額5000万円以下または常時使用する労働者数50人以下
サービス業:資本金もしくは出資の額5000万円以下または常時使用する労働者数100人以下
卸 売 業:資本金もしくは出資の額1億円以下または常時使用する労働者数100人以下
そ の 他:資本金もしくは出資の額3億円以下または常時使用する労働者数300人以下
弁護士法人四谷麹町法律事務所
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