労働問題468 会社オフィス前における労働組合による街宣活動が違法と評価されるのはどのような場合ですか。
労働組合は、団結権、団体交渉権が法的権利として保障されており、その目的とする組合員の労働条件の維持、改善を図るために必要かつ相当な行為は、正当な活動として、違法性を阻却されることになります。労働組合の組合活動としての表現行為、宣伝行動によって使用者の名誉や信用が毀損された場合、当該表現行為、宣伝行動において摘示されたり、その前提とされた事実が真実であると証明された場合はもとより、真実と信じるについて相当の理由がある場合も、それが労働組合の活動として公共性を失わない限り、違法性が阻却されることになりますし、当該表現行為、宣伝行動の必要性、相当性、動機、態様、影響など一切の事情を考慮し、その結果、当該表現行為、宣伝活動が正当な労働組合活動として社会通念上許容された範囲内のものであると判断される場合には、行為の違法性が阻却され、不法行為とならないことになります。
他方で、組合活動としてなされる文書活動であっても、虚偽の事実や誤解を与えかねない事実を記載して、会社の利益を不当に侵害したり、名誉、信用を毀損、失墜させたり、あるいは企業の円滑な運営に支障を来したりするような場合には、組合活動として正当性の範囲を逸脱し、違法と評価されることになります。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎