労働問題466 社内の多数組合を脱退して社外の合同労組に加入した社員を、ユニオン・ショップ協定に基づいて解雇することはできますか。

この記事の結論
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社外の合同労組に加入した社員をユニオン・ショップ協定に基づいて解雇することはできない

締結組合以外の他の労働組合に加入している者について使用者の解雇義務を定めるユニオン・ショップ協定の部分は、民法90条により無効とされます(三井倉庫港運事件最高裁平成元年12月14日第一小法廷判決)。

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労働者には組合選択の自由がある

労働者には、自らの団結権を行使するため労働組合を選択する自由があります。ユニオン・ショップ協定により、解雇の威嚇の下に特定の労働組合への加入を強制することは、組合選択の自由を侵害する場合には許されません。

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他の労働組合の団結権も等しく尊重される

締結組合の団結権と同様に、締結組合以外の他の労働組合の団結権も等しく尊重されなければなりません。

01ユニオン・ショップ協定とは

 ユニオン・ショップ協定とは、労働者が特定の労働組合(締結組合)の組合員たる資格を取得せず又はこれを失った場合に、使用者に当該労働者との雇用関係を終了させることにより間接的に労働組合の組織の拡大強化を図ろうとする労働協約上の定めです。

 つまり、社内の特定の組合に加入しなければ(あるいは脱退すれば)解雇するという内容の協定です。これにより、締結組合への加入率を高め、組合の組織力を維持・強化することが目的とされています。

02組合選択の自由と他の組合の団結権

 他方、労働者には自らの団結権を行使するため労働組合を選択する自由があります。また、ユニオン・ショップ協定を締結している労働組合(締結組合)の団結権と同様、同協定を締結していない他の労働組合の団結権も等しく尊重されなければなりません。

 このため、ユニオン・ショップ協定によって、労働者に対し、解雇の威嚇の下に特定の労働組合への加入を強制することは、それが労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害する場合には許されないとされています。

03最高裁判例の内容

 三井倉庫港運事件最高裁平成元年12月14日第一小法廷判決は、ユニオン・ショップ協定のうち、以下の者について使用者の解雇義務を定める部分は、民法90条の規定により無効であるとしています(憲法28条参照)。

ユニオン・ショップ協定が無効となる範囲

① 締結組合以外の他の労働組合に加入している者
② 締結組合から脱退し又は除名されたが、他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者

 したがって、社内の多数組合を脱退して社外の合同労組に加入した社員を、ユニオン・ショップ協定に基づいて解雇することはできません。

04会社経営者として注意すべき点

 ユニオン・ショップ協定がある会社において、社員が社内組合を脱退して社外のユニオンに加入した場合、ユニオン・ショップ協定を理由に解雇することはできません。この点を理解しておかなければ、解雇が無効と判断されるリスクを負うことになります。

 社内組合からユニオン・ショップ協定に基づく解雇要求が出された場合でも、当該社員が別の組合に加入していればその解雇要求に応じるべきではありません。対応に迷った場合は、使用者側弁護士に相談することをお勧めします。

経営上のポイント 社内組合を脱退して合同労組に加入した社員を、ユニオン・ショップ協定に基づいて解雇することはできません。社内組合から解雇要求があった場合でも安易に応じないことが重要です。アドバイスします。

SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

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Q&Aよくある質問

Q1. ユニオン・ショップ協定自体が無効になるのですか。

A. 協定全体が無効になるわけではありません。最高裁判例は、他の労働組合に加入している者や他の組合に加入・結成した者についての解雇義務を定める「部分」が無効であるとしています。どの組合にも加入しない者に対してユニオン・ショップ協定が適用される部分は有効です。

Q2. 社内組合から「ユニオン・ショップ協定に基づいて解雇してくれ」と要求されています。

A. 当該社員が他の労働組合に加入している場合は、その要求に応じて解雇することはできません。解雇すると、解雇が無効と判断されるだけでなく、不当労働行為として労働委員会への申立ての対象にもなり得ます。社内組合の要求を安易に受け入れず、使用者側弁護士に相談することをお勧めします。

Q3. 社員がどの組合にも加入しない場合は、ユニオン・ショップ協定に基づく解雇は可能ですか。

A. 最高裁判例が無効としているのは、他の労働組合に加入している者等についての部分です。どの組合にも加入しない者については、ユニオン・ショップ協定に基づく解雇が認められる余地がありますが、実際の運用にあたっては慎重な判断が必要です。弁護士に相談のうえ対応することをお勧めします。

最終更新日:2026年2月25日

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