労働問題462 「⑤広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束」の有無を判断する際には、どのような事情を考慮する必要がありますか。
以下のような事情がある場合に、広い意味での指揮監督下の労務提供や、労務供給の日時、場所についての一定の拘束が肯定的に解されるものと考えるのが一般的です。ただし、これらの事情がない場合でも直ちに広い意味での指揮監督下の労務提供や一定の時間的場所的拘束が否定されるものではありません(『労使関係法研究会報告書』)。
○労務供給の態様についての詳細な指示
・ 通常の委託契約における業務内容の指示ないし指図を超えて、マニュアル等により作業手順、心構え、接客態度等を指示されている。
・ 相手方から指示された作業手順等について、事実上の制裁があるなど、労務供給者がそれらを遵守する必要がある。
・ 業務を相手方の従業員も担っている場合、当該業務の態様や手続きについて、労務供給者と相手方従業員とでほとんど差異が見られない。
・ 労務の提供の態様について、労務供給者に裁量の余地がほとんどない。
○定期的な報告等の要求
・ 労務供給者に対して業務終了時に報告を求める等、労務の提供の過程を相手方が監督している。
○労務供給者の裁量の余地
・ 業務量や労務を提供する日時、場所について労務供給者に裁量の余地がない。
○出勤や待機等の有無
・ 一定の日時に出勤や待機が必要である等、労務供給者の行動が拘束されることがある。
○実際の拘束の度合い
・ 労務供給者が実際に一定程度の日時を当該業務に費やしている。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎