労働問題458 「①事業組織への組み入れ」の有無を判断する際には、どのような事情を考慮する必要がありますか。

 以下のような事情がある場合に、事業組織への組み入れが肯定的に解されるものと考えるのが一般的です。ただし、これらの事情がない場合でも直ちに事業組織への組み入れが否定されるものではありません(『労使関係法研究会報告書』)。

契約の目的
 ・ 契約の形式にかかわらず、相手方と労務供給者の契約が、労働力を確保する目的で締結されている。
組織への組み入れの状況
 ・ 業務の遂行の量的ないし質的な面において不可欠ないし枢要な役割を果たす労働力として組織内に位置付けられている(ただし、当該労務供給者が集団として存在していなくても、事業組織への組み入れが否定されるわけではない。)。
 ・ 評価制度や研修制度を設ける、業務地域や業務日を割り振るなど、相手方が労務供給者を管理している。
 ・ 人手が不足したときは他の事業者にも委託するが、通常は労務供給者のみに委託している。
第三者に対する表示
 ・ 相手方の名称が記載された制服の着用、名刺、身分証の携行等が求められているなど、第三者に対して相手方が労務供給者を自己の組織の一部として扱っている。
専属性
 ・ 相手方から受託している業務に類する業務を、契約上他の相手方から受託することができない。
 ・ 相手方から受託している業務に類する業務を他の相手方から受託することについて、契約上設定された権利義務としては制約がないが、当事者の認識や契約の実際の運用上は制約があり困難である。
 ・ 相手方から受託している業務に類する業務について、他の相手方との契約関係が全く又はほとんど存在しない。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 

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