労働問題453 不当労働行為(労組法7条)の種類には、どのようなものがありますか。


この記事の結論
1

不当労働行為には4つの類型がある

労組法7条は、①組合員への不利益取扱い(1号)、②正当な理由のない団体交渉拒否(2号)、③支配介入・経費援助(3号)、④申立て等を理由とする不利益取扱い(4号)の4類型を不当労働行為として禁止しています。

2

団体交渉を正当な理由なく拒否することは禁止されている

2号の団体交渉拒否は、合同労組(ユニオン)との関係で特に重要です。正当な理由のない拒否は不当労働行為に当たり、労働委員会への申立ての対象となります。

3

不当労働行為は労働委員会に申し立てることができる

不当労働行為が認定されると、救済命令が発せられます。通常の民事訴訟とは異なる手続きであり、会社側にとってリスクのある場面です。

01不当労働行為とは何か

 不当労働行為とは、使用者が労働組合や組合員に対して行う、労働組合法(労組法)7条が禁止する行為をいいます。憲法28条が保障する労働者の団結権・団体交渉権・団体行動権(労働三権)を実効的に保護するための制度です。

 不当労働行為に当たる行為を行った使用者は、労働委員会から救済命令を受けることがあります。この点で、通常の民事上の違法行為とは異なる手続きが適用されます。

 会社経営者として、労組法7条が禁止する行為の内容を正確に理解しておくことは、団体交渉への対応や組合活動への対処において重要です。

024つの不当労働行為の類型

 不当労働行為(労組法7条)の種類には、以下の4つがあります。

不当労働行為(労組法7条)の4類型

① 1号:組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱い
労働者が労働組合の組合員であること、組合に加入しようとしたこと、労働組合を結成しようとしたことなどを理由とする解雇・降格・減給等の不利益取扱いが禁止されます。

② 2号:正当な理由のない団体交渉の拒否
使用者は、組合から団体交渉の申し入れを受けた場合、正当な理由なく拒否することはできません。拒否や実質的な拒否(誠実に交渉しないこと)が禁止されます。

③ 3号:労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助
使用者が労働組合の結成・運営を支配・介入すること、または組合の経費の支払いについて援助することが禁止されます。

④ 4号:労働委員会への申立て等を理由とする不利益取扱い
労働者が労働委員会に申立てを行ったこと、または不当労働行為の審査において証言・証拠を提出したことを理由とする不利益取扱いが禁止されます。

03各類型の具体的な内容

 1号の不利益取扱いとして典型的なのは、組合に加入した従業員の解雇、組合員であることを理由とした降格・減給などです。組合員であること自体を不利益に扱う行為は広く禁止されています。

 2号の団体交渉拒否は、合同労組(ユニオン)との関係で特に問題になることが多いです。「社外の組合だから応じない」という対応は不当労働行為に当たります。また、形式的には交渉の場に出ても、誠実に交渉しない「誠実交渉義務違反」も2号の問題となります。

 3号の支配介入は、例えば特定の組合の結成を妨害したり、組合の内部運営に干渉したりする行為が典型です。経費援助については、例外的に許容される場合(最小限の広さの事務所の供与など)もあります。

04不当労働行為が認定された場合の効果

 不当労働行為が認定された場合、労働委員会から救済命令が発せられます。救済命令の内容としては、解雇された組合員の原職復帰・バックペイ(未払賃金の支払い)、団体交渉に応じることの命令、支配介入行為の禁止と誓約文の掲示などがあります。

 救済命令に従わない場合は、過料の制裁を受けることがあります。また、不当労働行為は民事上も違法であるため、損害賠償請求の対象となることもあります。

 会社経営者としては、不当労働行為に該当する行為を避けることが重要ですが、一方で「不当労働行為」と主張されることを過剰に恐れて、会社の正当な権限行使まで委縮することも避けるべきです。正しい知識を持って対応することが求められます。

経営上のポイント 不当労働行為の4類型を正確に理解しておくことで、組合との関係において会社が取るべき対応と、取ってはならない行為の区別が明確になります。疑問がある場合は使用者側弁護士に相談することをお勧めします。アドバイスします。

SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

団体交渉への対応でお悩みの会社経営者の方はご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。アドバイスします。

Q&Aよくある質問

Q1. 組合に加入した従業員の問題行動を理由に解雇することはできますか。

A. 組合加入の事実と無関係に、正当な解雇理由があれば解雇は可能です。ただし、組合加入後に解雇した場合、組合員であることを理由とする解雇(1号の不当労働行為)と見られやすい状況になります。解雇の理由が客観的に明確であること、組合加入との関連がないことを丁寧に証明できる状態にしておくことが重要です。

Q2. 不当労働行為の救済申立ては誰でもできますか。

A. 不当労働行為の救済申立ては、労働組合または組合員が行うことができます。申立先は都道府県労働委員会です。申立てができる期間(申立期間)は、不当労働行為があった日から1年以内とされています。

Q3. 誠実交渉義務とはどのような義務ですか。

A. 使用者は、団体交渉において誠実に交渉する義務(誠実交渉義務)を負います。形式的には交渉の場に出席しても、権限のない者を出席させて何も回答できない状態にする、回答を引き延ばし続けるなどの対応は、実質的な交渉拒否として不当労働行為(2号)に当たると判断されることがあります。

最終更新日:2026年2月25日

労働問題FAQカテゴリ


Return to Top ▲Return to Top ▲