労働問題454 不当労働行為について定めた労組法7条の「使用者」の範囲を教えて下さい。
朝日放送事件最高裁平成7年2月28日第三小法廷判決は、一般に使用者とは「労働契約上の雇用主」をいうとしつつ、労組法7条が団結権の侵害に当たる一定の行為を不当労働行為として排除、是正して正常な労使関係を回復することを目的としていることにかんがみ、「雇用主以外の事業主であっても、雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、右事業主は同条の『使用者』に当たるものと解するのが相当である。」と判示しています。
したがって、一般的には労働契約の一方当事者である使用者が労組法7条の「使用者」に該当することになりますが、雇用主以外の事業主であっても、雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、当該労働条件等との関係に限っては、労組法7条の「使用者」に該当することになります。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎