労働問題254 休憩時間内に必要に応じて実作業に従事するよう指示した場合、実作業に従事する可能性がほとんどない場合であっても、労基法上の労働時間に当たることになるのでしょうか。
大星ビル管理事件最高裁平成14年2月28日第一小法廷判決が、「上告人らは、本件仮眠時間中、労働契約に基づく義務として、仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けられているのであり、実作業への従事がその必要が生じた場合に限られるとしても、その必要が生じることが皆無に等しいなど実質的に上記のような義務付けがなされていないと認めることができるような事情も存しないから、本件仮眠時間は全体として労働からの解放が保障されているとはいえず、労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価することができる。」としていることからすれば、休憩時間内に必要に応じて実作業に従事するよう指示した場合であっても、「実作業への従事がその必要が生じた場合に限られ、その必要が生じることが皆無に等しいなど実質的に上記のような義務付けがなされていないと認めることができるような事情がある場合」には、労働からの解放が保障されているといえ、労働契約上の役務の提供が義務付けられていないと評価することができるものと考えられます。
したがって、設問中の「実作業に従事する可能性がほとんどない場合」が、「実作業への従事がその必要が生じた場合に限られ、その必要が生じることが皆無に等しいなど実質的に上記のような義務付けがなされていないと認めることができるような事情がある場合」と評価できるような場合には、労基法上の労働時間には当たらないと考えられます。