労働問題253 労基法に基づく残業代(割増賃金)計算の基礎となる労働時間から除外される「休憩時間」とは、どのような時間のことをいいますか。

 行政解釈では、「休憩時間」(労基法34条)の意義に関し、「休憩時間とは単に作業に従事しない手待時間を含まず労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取扱うこと。」(昭和22913日基発17号)とされており、「休憩時間」といえるためには「労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間」である必要があるものと考えられています。
 また、大星ビル管理事件最高裁平成14228日第一小法廷判決が、実作業に従事していない仮眠時間の労働時間性に関し、「労基法32条の労働時間(以下「労基法上の労働時間」という。)とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない仮眠時間(以下「不活動仮眠時間」という。)が労基法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである」「そして、不活動仮眠時間において、労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる。したがって、不活動仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たるというべきである。そして、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である。」と判示していることからすると、最高裁は、当該時間に労働者が労働からの解放が保障されていて初めて「休憩時間」といえ、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、「休憩時間」ではなく労基法上の労働時間であると捉えているものと考えられます。
 現実に作業に従事してはいないが、使用者から就労の要求があれば直ちに就労しうる態勢で待機している時間(手待時間)は、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間とはいえませんので、「休憩時間」(労基法34条)ではなく労基法上の労働時間と評価されることになります。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎


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