労働問題249 研修等の労働時間性を判断するにあたり、「教育・研修の内容と業務との関連性が強く、それに参加しないことにより本人の業務に具体的な支障が生ずるか否か」が問題とされているのはどうしてですか。

 研修等の内容が業務遂行上必要な知識技能の習得を目的としており、研修等に参加しないと業務遂行自体が不可能または困難になるような場合は、業務遂行のためには研修等に参加するほかありませんから実質的にみて出席の義務付けがあると評価することができるのに対し、研修等に参加しなくても業務遂行に格段の支障は生じないような場合には、実質的にみて出席の義務付けがあるとまでは評価することができないからです。
 私の個人的な感覚では、研修等の内容が業務遂行上必要な知識技能の習得を目的としており、研修等に参加しないと業務遂行自体が不可能または困難になるような場合は、研修等への参加それ自体が労働契約で予定された労務の提供(業務の遂行)であり、使用者の指揮命令下に置かれているものと評価することができますので、それに要する時間は労基法上及び労働契約上の労働時間に該当するように思えます。
 他方、研修等に参加しなくても業務遂行に格段の支障は生じないような場合には、当該研修等は福利厚生のようなものに過ぎず、研修等への参加は必ずしも労働契約で予定された労務の提供と評価することはできませんから、直ちに使用者の指揮命令下に置かれているものと評価することはできず、研修等に要する時間が労働時間と評価されるのは、使用者により明示又は黙示に参加を命じられた場合に限られるように思えます。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 

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