労働問題14 社員を解雇するに当たり、30日前に解雇を予告した上で,平均賃金30日分の解雇予告手当を支払おうと思います。これで問題ないでしょうか?

 貴社の対応で労基法上問題があるわけではないのですが、解雇予告義務(労基法20条)に関し、誤解があるように思えます。
 労基法20条1項本文が要求しているのは、
 ① 30日前の解雇予告
 ② 30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)の支払
のいずれかです。つまり、①②いずれかをすれば足り、両方を行う必要はありません。
 ①30日前に解雇予告した場合は、②解雇予告手当の支払は不要です。この場合、解雇予告から30日間は労働契約が存続していますから、退職までの期間は当該社員に仕事をするよう命じることができます。
 ②30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払った場合は、即時解雇しても労基法20条には違反しません(民事上、解雇が有効かどうかは、別問題です。)。
 なお、解雇予告の日数は、平均賃金を支払った日数分短縮することができますから(労基法20条2項)、
   解雇予告から解雇までの日数+解雇予告手当として支払われた平均賃金の日数≧30日
であればよいことになります。例えば、解雇日の15日前に解雇予告するのであれば、解雇日までに15日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払えば労基法20条には違反しないことになります。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 

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