労働問題132 合意退職の錯誤無効や強迫取消はどのような場合に認められてしまうのでしょうか?

 退職届を提出して退職した元社員から、錯誤無効(民法95条)、強迫取消(民法96条)等を理由として合意退職の効力が争われたとしても、退職届が提出されていれば合意退職の効力が否定されるリスクはそれほど高くはありませんが、一定の場合には合意退職の効力が否定されることがあります。
 その典型的事例は、「このままだと懲戒解雇は避けられず、懲戒解雇だと退職金は出ない。ただ、退職届を提出するのであれば、温情で受理し、退職金も支給する。」等と社員に告知して退職届を提出させたところ、退職時の会話が無断録音されていて、懲戒解雇できる事案であることを訴訟で立証できなかったケースです。
 有効に解雇できるような事案であれば、退職勧奨するにあたり退職届を提出しなければ解雇する旨告知しても構いませんが、有効に解雇することができるような事案ではない場合は、退職勧奨にあたり「解雇」という言葉は使うべきではありません。
 退職勧奨のやり取りは無断録音されていることが多いということにも留意するようにして下さい。

 

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