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多くの場合、皆勤手当・無事故手当は該当しない 通達では、臨時的・突発的事由に基づくもの、及び支給条件は予め確定しているが発生が不確定でかつ非常に稀なものを「臨時に支払われた賃金」としており、皆勤手当や無事故手当は多くの場合これに該当しません。 |
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支給事由の発生が不確定であれば該当するとした裁判例もある 支給事由の発生が不確定であれば非常に稀である必要はないという解釈もあり、実際に精勤手当を「臨時に支払われた賃金」と認定した裁判例があります(デイリートランス事件、大阪地裁令和元年11月21日判決)。 |
残業代の算定基礎となる賃金からは、一定の手当を除外することが認められていますが、その範囲は法令上厳密に定められています。皆勤手当や無事故手当がこの「除外賃金」に含まれるかは、実務上しばしば争点になります。
会社側専門の弁護士の立場から、皆勤手当や無事故手当が除外賃金である「臨時に支払われた賃金」(労基則21条4号)に該当するかを解説します。
01通達の内容
通達(昭和22年9月13日基発第17号)では、「臨時に支払われた賃金とは、臨時的、突発的事由にもとづいて支払われたもの、及び結婚手当等支給条件は予め確定されているが、支給事由の発生が不確定であり、且つ非常に稀に発生するものをいうこと。名称の如何にかかわらず、右に該当しないものは、臨時に支払われた賃金とはみなさないこと。」とされています。
02皆勤手当や無事故手当の扱い
皆勤手当や無事故手当は、通常、賃金計算期間の労働日に全て出勤し遅刻日数も少ない場合、無事故であった場合に支給されるものです。臨時的、突発的事由に基づいて支払われるものとはいえません。多くの会社では、皆勤手当や無事故手当の支給事由が非常に希に発生するものであるともいえないでしょう。通達を前提とすると、皆勤手当や無事故手当は「臨時に支払われた賃金」には該当しないケースが多いと思います。
03支給事由の発生が不確定な場合の解釈
もっとも、支給事由の発生が不確定であれば、非常に希に発生するものである必要はないという解釈も十分あり得ます。デイリートランス事件大阪地裁令和元年11月21日判決(2019WLJPCA11218001、2020年版要旨集75頁)では、「被告の賃金規定において、精勤手当が、当月、欠勤(有給休暇を除く)及び3回以上の遅刻のない者に月額1万円を支給する旨定められていること、現に原告についても欠勤のある平成29年6月分の精勤手当が支給されていないこと」を理由として、精勤手当が「臨時に支払われた賃金」(労基則21条4号)に当たると認定されています。
04会社側が押さえておくべき視点
会社側としては、皆勤手当・無事故手当を割増賃金の計算基礎から除外できると安易に判断することは危険です。通達の原則的な解釈によれば、これらの手当は「臨時に支払われた賃金」に該当しないケースが多く、割増賃金の計算基礎に算入する必要があるのが基本です。
もっとも、デイリートランス事件のように、実際に不支給となる月が生じる(=支給の有無が労働者の勤務実績によって変動する)実態がある場合には、支給事由の発生の不確定性を理由に除外賃金として認められる可能性も残されています。自社の皆勤手当・無事故手当の運用実態(実際に不支給となるケースの有無・頻度等)を踏まえ、割増賃金の計算基礎への算入の要否を慎重に検討することをお勧めします。判断に迷う場合には、賃金計算実務への影響が大きいため、早期に弁護士へ相談することが望ましいといえます。
05よくある質問(FAQ)
Q. 皆勤手当は、割増賃金の計算基礎から除外できますか。
多くの場合、除外できません。皆勤手当は臨時的・突発的事由に基づくものではなく、非常に稀にしか発生しない支給とはいえないため、原則として計算基礎に算入する必要があります。
Q. 「臨時に支払われた賃金」とは、どのような賃金をいいますか。
臨時的・突発的事由に基づいて支払われるもの、または支給条件は予め確定しているが支給事由の発生が不確定かつ非常に稀に発生するものをいいます(通達昭和22年9月13日基発第17号)。
Q. 精勤手当が除外賃金と認められた裁判例はありますか。
あります。デイリートランス事件(大阪地裁令和元年11月21日判決)では、支給事由の発生が不確定であることを理由に、精勤手当が「臨時に支払われた賃金」に該当すると認定されています。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。割増賃金の計算実務でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日