パートの有給休暇付与日数は?比例付与の計算ルールと時季変更権を弁護士が解説
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パート・アルバイトにも有給付与は法的義務 正社員との違いは付与日数(比例付与)だけであり、付与すること自体は必須です。「パートには有給がない」という運用は誤りであり、是正が必要です。 |
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週の所定労働日数に応じた正確な日数管理が必要 週1日勤務であっても有給は発生します。比例付与表に基づき、勤続年数や出勤率に応じた適正な日数を管理することが、法令違反を避ける第一歩です。 |
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時季変更権の行使には高いハードルがある 会社には時季変更権が認められていますが、裁判例では厳格に判断されます。安易な拒否は避け、事前の申請ルールや代替要員確保の体制を整えることが重要です。 |
01パートタイム労働者への有給休暇の付与要件
「パートやアルバイトに有給休暇は不要」と考えている方がいらっしゃいますが、これは明確な誤りです。労働基準法上、パートタイム労働者であっても、次の2つの要件を満たせば、当然に有給休暇が発生します。
有給休暇の付与要件(正社員・パート共通)
① 継続勤務要件 雇い入れの日から6か月が経過していること
② 出勤率要件 算定期間の全労働日の8割以上出勤していること
この要件自体は、正社員もパートタイム労働者も全く同じです。違うのは、後述する付与「日数」だけです。会社側として注意したいのは、「全労働日」の計算です。シフト制の場合、あらかじめ契約やシフト表で定められた労働日を基準に、8割以上の出勤を判定します。この管理を怠ると、本来付与すべき時期に付与していないという法令違反を招くことになります。パート・アルバイトを多く雇用している会社ほど、付与漏れが生じやすいため、注意が必要です。
02比例付与による付与日数の算出ルール
パートタイム労働者の場合、労働日数が正社員より少ないため、その日数に応じて有給休暇を付与する「比例付与」という仕組みが適用されます。具体的には、週の所定労働日数(または年間の所定労働日数)と勤続年数に応じて、次のとおり付与されます。
| 週所定 労働日数 |
0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年〜 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 2日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 1日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
※ 週の所定労働時間が30時間以上、または週の所定労働日数が5日以上の場合は、比例付与ではなく、正社員と同じ付与日数(6か月で10日〜)となります。
経営者は、自社のスタッフがどの区分に該当するかを正確に把握しなければなりません。例えば、週4日勤務のパートでも、勤続6.5年以上になれば年15日が付与されます。「パートだから数日でよい」といった思い込みは、付与日数の不足という法令違反につながりますので、勤続年数と週所定労働日数に応じた管理を徹底することが重要です。
03取得方法と時季変更権
有給休暇は、労働者が請求した時季に与えるのが原則です。会社側が「今は忙しいからダメだ」と安易に拒否することはできません。もっとも、会社には「時季変更権」(労働基準法第39条第5項)が認められています。
時季変更権とは、請求された時季に休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、休暇を他の時季に振り替えることができる権利です。ただし、裁判例では、この「事業の正常な運営を妨げる」という要件は厳格に判断されます。単に「代わりの人がいない」「人手不足である」というだけでは認められないケースが多い点に注意が必要です(時季変更権の詳細は525番参照)。
時季変更権の行使には会社の努力が前提
適法な時季変更権の行使には、会社側が代替要員の確保などに最善を尽くしたという事実が必要となります。何の努力もせずに「忙しいから」と拒否しても、時季変更権の行使は認められにくいといえます。安易な拒否は、違法な取得拒否として紛争の原因になります。
会社経営者としての防御策は、就業規則に「有給休暇取得の際は◯日前までに申し出ること」といった事前の申請ルールを明記し、業務の調整が可能な体制を整えておくことです。事前に申し出てもらう仕組みがあれば、代替要員の確保などの調整を行う余地が生まれ、結果として時季変更権を適法に行使できる場面も出てきます。パートタイム労働者の有給管理を疎かにすると、未払賃金の問題や労働局からの是正勧告を招くおそれがあります。パート労働者であっても自身の権利を正確に把握しているケースが増えていますので、「比例付与の正確な把握」と「取得ルールの明確化」を徹底することが、安定した企業経営につながります。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 週2日だけ勤務するアルバイトにも、有給休暇を与える必要がありますか。
A. 必要です。週2日勤務でも、継続勤務6か月・出勤率8割以上の要件を満たせば、比例付与により有給休暇が発生します。週2日勤務の場合、勤続6か月で3日、1年6か月で4日、というように付与されます(本文の比例付与表参照)。日数は少なくても、付与義務があること自体は正社員と変わりません。週1日勤務でも有給は発生しますので、付与漏れがないよう管理してください。
Q2. パートでも、年5日の確実な取得義務の対象になりますか。
A. 年10日以上の有給休暇が付与される労働者が対象です。パートでも、週4日勤務で勤続3.5年以上(10日付与)や、週5日勤務などで年10日以上付与される場合は、年5日の確実な取得義務の対象となります。比例付与で年10日未満の場合は対象外ですが、付与日数が10日以上になるパートについては、正社員と同様に年5日の取得管理が必要です。自社のパートの付与日数を確認しておくことが重要です。
Q3. 繁忙期に有給を申請されました。「忙しいから別の日に」と変更できますか。
A. 時季変更権を行使するには、「事業の正常な運営を妨げる場合」に当たる必要があり、裁判例では厳格に判断されます。単に繁忙期である、代わりの人がいないというだけでは認められにくく、会社が代替要員の確保などに努力したことが前提となります。一律に「繁忙期は変更」とするのではなく、個別の状況に応じて慎重に判断する必要があります。行使の可否に迷う場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
最終更新日:2026年3月1日