労働問題819 有期労働契約の期間の上限と下限を教えてください。

1.有期労働契約とは
 有期労働契約とは、期間の定めのある労働契約のことをいいます。アルバイト、契約社員、嘱託等、様々な名称がありますが、期間の定めのあるものは、全て有期労働契約です。なお、定年はここでいう「期間の定め」には当たりません。

2.有期労働契約の期間の上限
 有期労働契約の期間の上限は、次の①~③の例外を除き、3年です。ただし、この上限期間は、契約の更新を禁止・制限する趣旨ではありません。
① 一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの(労基法14条1項)
 これに該当する場合は、「必要な期間」が契約の期間の上限となります。厚生労働省は、「例えば4年間で完了する土木工事において、技師を4年間の契約で雇い入れる場合のごとく、その事業が有期的事業であることが客観的に明らかな場合であり、その事業の終期までの期間を定めて契約するこが必要である」としています。
② 厚生労働大臣が定める基準に該当する高度の専門的知識、技術、又は経験を有する労働者が、当該専門的知識を必要とする業務に就く場合
 この場合、有期労働契約の上限は5年となります。厚生労働大臣が定める基準に該当する高度の専門的知識等とは、概ね次のとおりです。
・博士の学位を有する者
・公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士、弁理士のいずれかの資格を有する者
・システムアナリスト、アクチュアリーの資格試験に合格した者
・特許発明の発明者、登録意匠を創作した者または登録品種を育成した者
・農林水産業・鉱工業・機械・電気・土木・建築に関する技術者、システムエンジニア、デザイナーであって、大学卒業後5年、短期大学、高等専門学校卒業後6年、高等学校卒業後7年以上従事した経験を有する者、又はシステムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタントであって、年収1075万円以上の者
・国、地方公共団体、公益法人等によりその有する知識、技術又は経験が優れたものであると認定されている者
③ 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約

3.有期労働契約の期間の下限
 有期労働契約の期間の下限については、法令上制限はありません。ただし、使用者には、有期労働契約を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならないという、配慮義務があります(労契法17条)。この配慮義務に違反したとしても、その期間の定めや有期労働契約そのものが無効となるわけではありませんが、雇止めの相当性判断において、一要素となり得ると考えます。

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