この記事の結論
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高年法が求めるのは制度の導入であって、定年退職者の希望条件での雇用ではない

事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではありません。

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合理的な裁量の範囲の条件提示であれば、合意に至らず再雇用に至らなくても高年法違反にはならない

企業ができることは適正水準の条件を提示するところまでであり、選択は定年退職者に委ねられます。

 提示条件拒絶時の高年法違反の有無とは、事業主が合理的な裁量の範囲で再雇用条件を提示したにもかかわらず、当該条件について労働者との合意が得られず再雇用に至らなかった場合に、高年法9条違反が成立するかどうかという問題をいいます。「賃金水準を提示したところ、本人がそれでは安すぎると言って再雇用を辞退した。これは高年法違反にならないか」というご相談をいただくことがあります。

 本ページでは、会社が提示した再雇用条件を高年齢者が拒絶した場合の高年法違反の有無について、会社側専門の弁護士が解説します。

01高年法が求めるのは「制度の導入」であって「希望条件での雇用」ではない

 結論:高年法が事業主に要求しているのは、継続雇用制度等の高年齢者雇用確保措置の導入であって、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではありません。この点は、厚生労働省の「高年齢者雇用安定法Q&A」でも同様に確認されている考え方です。

02合理的な裁量の範囲の条件提示であれば高年法違反にならない

 結論:事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、定年退職者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に定年退職者が再雇用されなかったとしても、高年法違反となるものではありません。企業が定年退職者に提示した賃金水準での再雇用を高年齢者が拒絶した場合は、再雇用されなかったとしてもやむを得ないところです。

03企業ができることの範囲

 結論:企業ができることは、自社の体力、定年退職者の能力、再雇用後の業務の内容、当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲等に見合った適正水準の賃金等の労働条件を提示するところまでであり、当該労働条件での再雇用を希望するかどうかは、定年退職者の選択に委ねられることになります。

 この範囲を超えて、著しく不合理な条件(実質的に再雇用を拒否する意図での極端な低賃金の提示等)を提示した場合は、合理的な裁量の範囲を逸脱したものとして問題になるリスクがあります。適正な条件提示の範囲・進め方については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。

条件提示の比較|適切な対応/NGな対応

○ 適切な対応 ✕ NGな対応(高年法違反と評価されるリスク)
自社の体力・本人の能力等に見合った合理的な条件を提示する 著しく不合理・不誠実な条件を提示して形式だけ整える
条件提示の根拠を説明できるようにする 根拠を示さず一方的に条件を通告する
交渉過程・提示内容を書面で記録する 口頭のみのやり取りで記録を残さない
拒絶された場合の対応方針を事前に検討しておく 拒絶されてから場当たり的に対応する

04よくある質問(FAQ)

Q. 「合理的な裁量の範囲」の条件かどうかは、どのように判断されますか。

自社の経営状況(賃金原資の余裕度)、本人の能力・経験、再雇用後に想定される業務内容・責任の程度、同業他社の水準等を総合的に考慮して判断されます。著しく不合理な条件(業務内容に比して極端に低い賃金等)でなければ、合理的な裁量の範囲内と評価される可能性が高いと考えられます。

Q. 高年齢者が条件を拒絶した場合、会社は何もしなくてよいのですか。

高年法違反にはならないと考えられますが、拒絶に至った経緯(提示した条件・本人とのやり取り)を記録として残しておくことが重要です。後日、本人や労働組合等から「不当な条件を押し付けられた」と主張された場合に、適正な手続を踏んでいたことを説明できるようにしておく必要があります。

Q. 提示条件が「不誠実」と評価されるのはどのような場合ですか。

実質的に再雇用を拒否する意図で、著しく不合理な条件(明らかに受け入れ不可能な低賃金・過大な業務量等)を提示するようなケースが該当し得ます。厚生労働省のQ&Aでも、事業主が合理的な裁量の範囲で条件を提示していることが前提とされています。条件設定に不安がある場合は弁護士に相談することをお勧めします。

経営上のポイント 高年法が求めるのは制度の導入であって、定年退職者の希望条件での雇用ではありません。事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、合意に至らず再雇用に至らなくても高年法違反にはなりません。企業ができることは適正水準の条件を提示するところまでです。従来同条件での継続雇用を要求された場合の対応とあわせて、条件提示の進め方について会社側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。再雇用条件の提示・高年法対応でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月11日


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