この記事の結論
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従来は継続雇用拒絶そのものを争う紛争が多かったが、近時は継続雇用後の労働条件交渉が中心

高年齢者雇用確保措置の義務化が定着し、継続雇用自体を拒否する企業が減少していることが背景にあると考えられます。

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「雇用と年金の接続」が政策課題である以上、よほどの事情がない限り継続雇用自体の拒否は訴訟リスクが高い

継続雇用基準が認められる企業であっても、この点を踏まえた慎重な対応が求められます。

 定年後再雇用をめぐる紛争傾向とは、定年退職後の継続雇用に関して労使間で生じる紛争の内容・態様の変化をいい、近時は継続雇用の可否そのものよりも継続雇用後の労働条件の当否が争点となる傾向が強まっています。「定年後再雇用をめぐるトラブルは、最近どのような形が多いのか」というご質問をいただくことがあります。実務の現場での紛争の中身は、時代とともに変化してきています。

 本ページでは、定年後再雇用をめぐる近時の紛争傾向と、会社側が取るべき対応策について、会社側専門の弁護士が解説します。

01従来型の紛争|継続雇用拒絶そのものを争うケース

 結論:従来は、定年後の継続雇用を拒絶された高年齢者が、継続雇用又は損害賠償を請求するという形の紛争が多く見られました。高年齢者雇用確保措置が義務化された当初は、そもそも継続雇用制度自体が整備されていなかったり、選別基準による対象者限定が広く行われていたりしたため、「継続雇用されるべきなのに拒絶された」という形の紛争が中心でした。

02近時の傾向|継続雇用後の労働条件交渉が中心に

 結論:近時は、継続雇用自体は実現しているものの、継続雇用後の労働条件(賃金水準等)の当否をめぐる交渉・紛争が中心になりつつあります。高年齢者雇用確保措置の義務化が定着し、希望者全員を対象とする継続雇用制度が広く普及したことにより、継続雇用自体を拒否する企業が減少したことが背景にあると考えられます。

 その一方で、継続雇用後の賃金水準に不満を持つ高年齢者が、労働条件の見直しを求める動きが増える傾向にあります。特に賃金の大幅な引下げに対しては、不合理な待遇差ではないかという観点からの交渉・紛争が増加しています。

03会社側が取るべき基本方針

 結論:雇用と年金の接続が重要な政策課題となっている現在、継続雇用基準が認められている企業であっても、よほどの事情がない限り継続雇用自体を拒否することは、高年齢者にとって死活問題であるだけでなく訴訟リスクも高いため、お勧めできません。会社側が取るべき基本方針は、継続雇用自体は基本的に認めた上で、労働条件の設計・交渉プロセスに注力するという方向性です。

 継続雇用後の労働条件の設計・労働条件交渉の進め方については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。

対応方針の比較|適切な対応/NGな対応

○ 適切な対応 ✕ NGな対応(訴訟リスクを高める対応)
継続雇用自体は基本的に認め、労働条件の設計で対応する よほどの事情もなく継続雇用自体を拒否しようとする
労働条件交渉は書面で丁寧に記録を残す 口頭のみで労働条件を提示し合意内容を残さない
「雇用と年金の接続」の趣旨を踏まえた制度運用を行う 政策的背景を考慮せず自社都合のみで判断する
紛争の兆候があれば早期に弁護士へ相談する 交渉が難航してから慌てて相談する

04よくある質問(FAQ)

Q. なぜ近時、継続雇用後の労働条件交渉が紛争の中心になっているのですか。

高年齢者雇用確保措置の義務化が定着し、継続雇用自体を拒否する企業が減少した一方で、継続雇用後の賃金水準に不満を持つ高年齢者が増えていることが背景にあると考えられます。特に賃金の大幅な引下げに対して、労働条件の見直しを求める動きが増えています。

Q. 継続雇用後の労働条件をめぐる交渉では、どのような点に注意すべきですか。

提示する労働条件が著しく低廉である場合、裁判例(長澤運輸事件等)を踏まえても不合理と評価されるリスクがあります。労働条件の設定根拠を説明できるようにし、交渉過程を書面で記録しておくことが重要です。

Q. 継続雇用自体を拒否できる「よほどの事情」とはどのような場合ですか。

就業規則の解雇事由・退職事由に該当する重大な事情(心身の故障により業務に堪えられない、重大な非違行為があった等)に限られます。単なる業績不振や賃金原資の不足のみでは、継続雇用自体を拒否する理由としては不十分とされる可能性が高く、まずは労働条件の調整で対応することが求められます。

経営上のポイント 従来は継続雇用拒絶そのものを争う紛争が多かったですが、近時は継続雇用後の労働条件をめぐる交渉が紛争の中心になりつつあります。雇用と年金の接続が政策課題となる中、継続雇用基準が認められる企業であっても、よほどの事情がない限り継続雇用自体を拒否することは訴訟リスクが高いです。再雇用後の賃金水準に対する法的規制とあわせて、継続雇用後の労働条件設計について会社側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。定年後再雇用をめぐる紛争予防でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月11日


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