この記事の結論
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業務内容・責任が定年前と変わらないのに賃金だけ大幅に下がると、不満・紛争リスクが高まる

賃金水準と業務内容のバランスを取ることが、円滑な再雇用制度運用の鍵になります。

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賃金を抑える場合は、勤務日数・時間の短縮、業務難易度・責任の軽減、職種・勤務地の限定を併せて検討する

複数の調整方法を組み合わせることで、賃金水準との整合性を確保できます。

 再雇用後の業務内容・勤務形態の設計とは、定年後再雇用にあたり、賃金水準の引下げと整合するよう、勤務日数・勤務時間・業務の難易度・責任の程度・職種や勤務地の範囲等を調整する実務上の対応をいいます。「定年後再雇用で賃金を下げたいが、業務内容はどうすればよいのか」というご相談は、経営者の方から非常に多くいただきます。

 本ページでは、再雇用後の業務内容・勤務形態の設計の考え方について、会社側専門の弁護士が解説します。

01賃金と業務内容のバランスが重要です

 結論:再雇用後の業務の内容、当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲等が定年退職前と変わらないにもかかわらず、再雇用後の賃金が定年退職前よりも大幅に下がったのでは高年齢者の不満が大きくなり、紛争のリスクも高まります。賃金だけを引き下げて業務内容を据え置く運用は、不合理な待遇差として問題視されるリスクを高めることにもつながります。

02具体的な調整方法|勤務日数・時間の短縮

 結論:再雇用後の賃金額が定年退職時よりも低い場合は、再雇用後の勤務日数や勤務時間数を減らすこと(例えば週3日勤務にするとか1日4時間勤務にするといったこと)が調整方法の一つとして考えられます。労働時間を短縮すれば、時間あたりの賃金水準を維持しながら総支給額を調整することができ、高年齢者の納得も得やすくなります。

03具体的な調整方法|業務内容・責任の軽減

 結論:業務の内容を正社員でなくてもできるような難易度の低いものにする、責任の軽い仕事を担当させるといった業務内容・責任の程度の調整も有効な方法です。管理職としての責任やマネジメント業務から離れ、実務的な業務に専念してもらうといった形も、実務上よく用いられます。

04具体的な調整方法|職種・勤務地の限定

 結論:職種や勤務地を限定することも、賃金水準との整合性を確保する調整方法として考えられます。転勤の可能性を無くす、担当業務を特定の職種に固定するといった形で、責任・拘束の程度を軽減することができます。

 これらの調整方法は単独でも組み合わせても構いません。再雇用後の業務内容・労働条件の設計については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。

業務内容設計の比較|適切な対応/NGな対応

○ 適切な対応 ✕ NGな対応(不合理な待遇差のリスク)
賃金水準に見合った業務内容・責任へと調整する 業務内容は据え置きで賃金のみ大幅に引き下げる
勤務日数・時間の短縮を選択肢として検討する フルタイム勤務を維持したまま賃金だけ下げる
職種・勤務地の限定を書面で明確にする 曖昧なまま従来と同じ働き方を求める
本人と業務内容の変更について事前に話し合う 一方的に業務内容を通告するのみで済ませる

05よくある質問(FAQ)

Q. 賃金を下げる場合、必ず業務内容も変更しなければなりませんか。

法律上の絶対的な義務ではありませんが、業務内容・責任が変わらないまま賃金のみを大幅に引き下げると、不合理な待遇差(パートタイム・有期雇用労働法8条)と評価されるリスクが高まります。賃金水準の引下げに見合った業務内容・責任の調整を行うことが、紛争予防の観点から強く推奨されます。

Q. 勤務日数・時間を減らす場合、社会保険の適用にはどのような影響がありますか。

勤務日数・時間を大幅に減らすと、社会保険(厚生年金・健康保険)の被保険者資格を喪失する可能性があります。本人の希望や生活設計に大きく影響するため、社会保険の適用条件を確認した上で、本人に十分説明することが重要です。

Q. 業務内容を変更する場合、本人の同意は必要ですか。

再雇用は新たな労働契約の締結であるため、業務内容を含めた労働条件全体について、会社が提示し本人が合意することで契約が成立します。一方的に業務内容を押し付けることはできず、提示した内容に本人が納得できない場合は、再雇用自体が成立しないことになります。

経営上のポイント 業務内容・責任の程度が定年前と変わらないのに賃金だけ大幅に下がると、高年齢者の不満・紛争リスクが高まります。賃金を抑える場合は、勤務日数・時間の短縮、業務内容・責任の軽減、職種・勤務地の限定を組み合わせて検討することが重要です。提示した再雇用条件を拒絶された場合の高年法違反の有無とあわせて、再雇用後の業務内容設計について会社側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。再雇用後の業務内容・労働条件の設計でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月11日


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