残業代算定の基礎となる労基法上の労働時間とは|指揮命令下に置かれた時間
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労基法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう 残業代(労基法37条)の算定の基礎となる労働時間は、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を指します(三菱重工業長崎造船所事件・最高裁平成12年3月9日第一小法廷判決)。 |
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労働時間該当性は客観的に判断され、契約や就業規則の定めでは決まらない 労働時間に当たるかどうかは、指揮命令下に置かれたと客観的に評価できるかで判断され、労働契約・就業規則の定めのいかんによって決まるものではありません。 |
残業代(割増賃金)は労基法上の労働時間を基礎に計算されますが、その労基法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます(三菱重工業長崎造船所事件・最高裁平成12年3月9日第一小法廷判決)。何が労働時間に当たるかは、就業規則や契約の文言ではなく、実態として指揮命令下に置かれていたかどうかで客観的に判断される点が、実務上の重要なポイントです。
この定義を正確に理解しておくことは、残業代トラブルにおいて労働時間の範囲を適切に主張・立証するための出発点となります。会社側専門の弁護士の立場から、労基法上の労働時間の意義を解説します。
01労基法上の労働時間の定義
労基法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます(三菱重工業長崎造船所事件・最高裁平成12年3月9日第一小法廷判決)。これは、残業代(労基法37条の割増賃金)を計算する際の基礎となる労働時間の考え方を示した、実務上最も基本となる判例の定義です。
残業代の金額は、この労働時間に該当する時間の長さに単価と割増率を掛けて算定されます。したがって、ある時間が労基法上の労働時間に当たるかどうかは、残業代の有無・金額を左右する重要な前提となります。
02「指揮命令下に置かれている時間」の意味
「指揮命令下に置かれている時間」とは、労働者が使用者の指示に従って労務を提供し、または労務の提供に備えて待機している状態にある時間を意味します。実際に作業をしている時間だけでなく、使用者の指示があればただちに対応しなければならない待機時間(手待時間)なども、指揮命令下に置かれていると評価されれば労働時間に含まれます。
逆に、労働者が労働から離れることを保障されている時間(自由に利用できる休憩時間など)は、指揮命令下にあるとはいえず、労働時間には該当しません。実態として労働者がどの程度拘束されていたかが判断の分かれ目になります。
03契約や就業規則の定めでは決まらない
労基法上の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かにより客観的に定まるものであり、労働契約・就業規則・労働協約等の定めのいかんによって決定されるものではありません。
したがって、就業規則で「この時間は労働時間ではない」と定めていても、実態として指揮命令下に置かれていれば労働時間と判断されます。書面上の取り扱いだけで労働時間性を否定することはできないため、実際の運用が指揮命令下にあると評価されないよう、待機・拘束のあり方を見直すことが重要です。
04会社が取るべき実務対応
自社において、労働時間性が問題となりやすい時間(始業前の準備・朝礼、移動時間、待機時間、終業後の在社時間、研修時間など)について、実態として指揮命令下に置かれているかを点検してください。労働時間に当たる可能性が高い時間については、正確に把握・記録し、残業代の対象に含めて計算する必要があります。
労働時間性の判断は個別の事情に大きく左右されます。自社の運用が労働時間と評価されるかどうか判断に迷う場合は、会社側・使用者側専門の弁護士に相談することをお勧めします。
05よくある質問(FAQ)
Q. 労基法上の労働時間とは、具体的にどのような時間ですか。
労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます(三菱重工業長崎造船所事件・最高裁平成12年3月9日第一小法廷判決)。実作業の時間だけでなく、指示があればただちに対応すべき待機時間なども、指揮命令下にあると評価されれば労働時間に含まれます。
Q. 就業規則で労働時間ではないと定めれば、労働時間から外せますか。
外せません。労働時間該当性は指揮命令下に置かれたと客観的に評価できるかで判断され、労働契約・就業規則の定めのいかんによって決まるものではありません。実態として指揮命令下にあれば労働時間と判断されます。
Q. 待機時間(手待時間)は労働時間になりますか。
なり得ます。指示があればただちに作業に入ることが求められ、労働から離れることが保障されていない待機時間は、指揮命令下に置かれているとして労働時間に含まれます。実態として自由利用が保障されているかが判断の分かれ目です。
Q. 労働時間に当たるかどうかの判断方法をもっと詳しく知りたいのですが。
労働者の行為が義務付けられ、または余儀なくされたときは、特段の事情がない限り指揮命令下に置かれたと評価されます。判断の具体的な枠組みについては、労働時間該当性の判断基準を解説した関連ページをご覧ください。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働時間性の判断や労働時間管理でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日