労働問題931 労働組合の「正当な行為」が問題とされるケースにはどのようなものがありますか?

 労働組合の行為には、「正当性」が必要とされています。正当性がないのであれば使用者が懲戒処分などをしても、不当労働行為には該当しないことになります。
 たとえば、労働組合内部の承認を経ずに一部の集団が独自に行うストライキ、労働者の経済的地位の向上とは直接関係のない政治的目的の争議行為は正当性が否定されるのが通常で、団体交渉を経ない抜き打ちのようなストライキ、労働協約中の平和条項に違反する争議行為は、必ずしも正当性は否定されません。
 裁判例には、不法に使用者側の自由意思を抑圧しあるいはその財産に対する支配を阻止するような行為には、正当性が否定されるとするものがあります。具体例としては、タクシー会社の組合員が、ストライキ中、会社の退去要求に応じず、車輌の傍らに座り込み又は寝転ぶ等して車輌の搬出を妨げた行為について、正当性を否定しています。
 争議行為以外の活動については、会社の一連の合理化政策に反対する立場から組合内の少数派グループが行ったビラ配布等の活動には、正当性があると判断した裁判例があります。
 なお、就業時間中に労働組合の活動を行うことは、原則として正当性が否定されます。

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