労働問題836 仮眠時間は労基法上の労働時間に当たりますか。

 仮眠時間が労基法上の労働時間に当たるかどうかは、客観的にみて使用者の指揮命令下に置かれているかどうかによります。そして、使用者の指揮命令下に置かれているかどうかは、労働者の行為が使用者から義務付けられ、または余儀なくされたものであるかどうか等を考慮して判断されます。
 例えば、仮眠室での待機、警報や電話への対応が使用者によって義務付けられているならば、使用者の指揮命令下に置かれていると評価されますので、仮眠時間は労働時間に当たると考えます。もっとも、仮眠時間において実作業の必要が生じることが皆無に等しいなど、実質的に上記のような義務付けがなされていないと認められるような事情があれば、指揮命令下に置かれているとは評価できないため、労働時間に当たらないと考えます。
 ビルの管理人の仮眠時間が労基法上の労働時間に該当するか否かが争点となった大星ビル管理事件は、労働者が仮眠時間中であっても、仮眠室での待機、警報や電話等への対応が使用者によって義務付けられており、また、実作業の必要が生じることが皆無に等しいなどの事情もないことから、当該仮眠時間は労働時間に当たると判断しています(最高裁平成14年2月28日判決)。

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