労働問題834 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、労働時間の記録方法等についてどのように示していますか。

この記事の結論
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賃金台帳の未記入・虚偽記入には30万円以下の罰金がある

使用者は、労基法108条等により、労働者ごとに労働日数・労働時間数・時間外労働時間数等を賃金台帳に適正に記入する必要があり、未記入や故意の虚偽記入には、労基法120条に基づき30万円以下の罰金が科されます。

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労働時間関連書類は3年間保存が必要

出勤簿やタイムカード等、労働時間の記録に関する書類は、労基法109条に基づき3年間保存しなければなりません。始業・終業時刻の記録書類、残業命令書等も対象になります。

 831の記事で解説した5つの措置のうち、②〜⑤の内容について、本稿でさらに詳しく解説します。始業・終業時刻の確認・記録(832・833の記事参照)と並んで、これらの措置も、実効的な労働時間管理体制の重要な構成要素です。

 会社側専門の弁護士の立場から、ガイドラインが示す労働時間の記録方法等を解説します。

01賃金台帳の適正な調製

 使用者は、労働基準法第108条及び同法施行規則第54条により、労働者ごとに、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を適正に記入しなければなりません。また、賃金台帳にこれらの事項を記入していない場合や、故意に賃金台帳に虚偽の労働時間数を記入した場合は、同法第120条に基づき、30万円以下の罰金に処されます。単に給与計算のための帳簿というだけでなく、法定の記載事項を適正に管理することが義務付けられているという点を認識しておく必要があります。

02労働時間の記録に関する書類の保存

 使用者は、労働者名簿、賃金台帳のみならず、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第109条に基づき、3年間保存しなければなりません。使用者は、労働者名簿だけでなく、始業・終業時刻等労働時間の記録に関する書類、タイムカードの記録、残業命令書及びその報告書、労働者が自らの労働時間を記録した報告書も「労働関係に関する重要な書類」に当たるため、3年間保管する必要があります。775の記事で解説した、労働時間の証拠となり得る様々な書類(勤務時間整理簿、シフト表等)も、この保存義務の対象に含まれます。

03労働時間を管理する者の職務

 事業場において労務管理を行う部署の責任者は、当該事業場内における労働時間の適正な把握等労働時間管理の適正化に関する事項を管理し、労働時間管理上の問題点の把握及びその解消を図る必要があります。単に記録を蓄積するだけでなく、その記録から問題点(過重労働の傾向、記録と実態の乖離等)を積極的に把握し、改善につなげる役割が求められています。

04労働時間等設定改善委員会等の活用

 使用者は、事業場の労働時間管理の状況を踏まえ、必要に応じ労働時間等設定改善委員会等の労使協議組織を活用し、労働時間管理の現状を把握の上、労働時間管理上の問題点及びその解消策等の検討を行う必要があります。会社側の一方的な判断だけでなく、労使での議論を通じて、労働時間管理の改善を図ることが期待されています。

05会社側が押さえておくべき視点

 会社側としては、まず、賃金台帳に法定の記載事項(労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数)が漏れなく記入されているかを確認する必要があります。この記載を怠ると、単なる労務管理上の不備にとどまらず、罰則(30万円以下の罰金)の対象になる点を認識しておくべきです。

 また、タイムカード等の記録書類は3年間の保存義務があるため、システムの入れ替えやデータ削除の際に、この保存期間を下回らないよう注意が必要です。労働時間を管理する部署の責任者の職務を明確化し、労働時間等設定改善委員会等の労使協議の場を活用することも、継続的な労働時間管理の改善につながります。

06よくある質問(FAQ)

Q. 賃金台帳に時間外労働時間数を記入していなかった場合、どうなりますか。

労基法120条に基づき、30万円以下の罰金に処されるおそれがあります。労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数を適正に記入する必要があります。

Q. タイムカードは、どのくらいの期間保存する必要がありますか。

労基法109条に基づき、3年間保存する必要があります。出勤簿、残業命令書等も同様に保存対象です。

Q. 労働時間等設定改善委員会は、必ず設置しなければなりませんか。

ガイドラインは「必要に応じ」活用するよう求めており、一律に設置義務があるわけではありませんが、労使協議を通じた労働時間管理の改善が推奨されています。

経営上のポイント ガイドラインは、賃金台帳の適正な調製(労働日数、労働時間数、休日・時間外・深夜労働時間数の記入。未記入・虚偽記入には30万円以下の罰金)、労働時間の記録に関する書類の3年間保存(出勤簿、タイムカード、残業命令書等)、労働時間を管理する者による問題点の把握・解消、労働時間等設定改善委員会等の労使協議組織の活用を求めています。会社側としては、賃金台帳の法定記載事項の網羅、記録書類の保存期間の遵守、労働時間管理者の職務の明確化、労使協議の場の活用が重要です。これらを怠ると、罰則の対象になるほか、残業代トラブル時の立証・反証にも支障が生じます。労働時間管理体制の整備は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働時間管理体制の整備でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日

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