労働問題674 企画業務型裁量労働制が適用される「対象業務」とは、具体的に何を指していますか?
企画業務型裁量労働制とは、企業の中枢部門で企画・立案・調査・分析などの業務に従事するホワイトカラーに関する労働時間のみなし制のことをいいます。
労基法38条の4第1項1号では、対象業務について「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するためにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、使用者が具体的な指示をしないこととする業務」と定められています。
また、通達(平成15年10月22日基発1022001号)で、「企画業務型裁量労働制を実施することができる事業場は、事業運営上の重要な決定が行われる事業場に限定されないこととなったところであるが、いかなる事業場においても企画業務型裁量労働制を実施することができるということではなく、対象業務が存在する事業場においてのみ企画業務型裁量労働制を実施することができるものであること。」と述べられたことにより、対象業務についても範囲が広がりました。
指針(平成11年12月27日労告149号)及び通達(平成15年10月22日基発1022001号)では、以下のとおり、対象業務について詳細な基準を示しています。
1 「対象事業場の属する企業等に係る事業の運営に影響を及ぼす事項」に該当する例
(1) 本社・本店である事業場においてその属する企業全体に係る管理・運営とあわせて対顧客営業を行っている場合、当該本社・本店である事業場の管理・運営を担当する部署において策定される当該事業場の属する企業全体の営業方針
(2) 事業本部である事業場における当該事業場の属する企業等が取り扱う主要な製品・サービス等についての事業計画
(3) 地域本社や地域を統轄する支社・支店等である事業場における、当該事業場の属する企業等が事業活動の対象としている主要な地域における生産、販売等についての事業計画や営業計画
(4) 工場等である事業場において、本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に策定する、当該事業場の属する企業等が取り扱う主要な製品・サービス等についての事業計画
2 「当該事業場に係る事業の運営に影響を及ぼす独自の事業計画や営業計画」に該当する例
(1) 支社・支店等である事業場において、本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に策定する、当該事業場を含む複数の支社・支店等である事業場に係る事業活動の対象となる地域における生産、販売等についての事業計画や営業計画
(2) 支社・支店等である事業場において、本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に策定する、当該事業場のみに係る事業活動の対象となる地域における生産、販売等についての事業計画や営業計画
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