労働問題642 1年単位の変形労働時間制の就業規則規定例及び労使協定例を教えてください。
1.就業規則
就業規則では、変形期間と各日・各週の所定労働時間・始業・終業時刻を定めなければなりませんが、具体的な労働時間の記載は複雑になるため、下記のような記載で足ります。また、労使協定も就業規則と同様労働者への周知対象となっているため、「労使協定で定めるところによる」と省略して記載してもよいと考えられます。
就業規則規定例
(変形労働時間制)
第○条 労使協定により労働基準法に定める1年以内の変形労働時間制の対象となる従業員については、第○条の所定労働時間の定めに関わらず、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を平均して1週間当たりの所定労働時間数が40時間を超えない範囲において、労使協定で定める所定労働時間とする。
2 変形期間の所定労働時間
6時間の日 午前8時30分 午後3時30分 休憩12時~13時
8時間の日 午前8時 午後5時 休憩12時~13時
9時間の日 午前8時30分 午後6時30分 休憩12時~13時
変形期間の各日・各週の具体的な所定労働時間は労使協定の定めによる。
2.労使協定
労使協定は、各事業場ごとで締結する必要があります。
また、対象期間の所定労働時間の合計が、法定労働時間の総枠を超えないように定める必要があります。
対象期間における法定労働時間の総枠
対象期間における法定労働時間の総枠は、次のとおりです。
1年(365日):2085.7時間
1年(366日):2091.4時間
6か月(183日):1045.7時間
4か月(122日):697.1時間
3か月(92日):525.7時間
労使協定例
株式会社○○と○○労働組合は、1年単位の変形労働時間制に関し、下記のとおり協定する。
(対象となる従業員の範囲)
第1条 1年単位の変形労働時間制は、次のいずれかに該当する従業員を除き、全従業員に適用する。
一 パートタイマー
二 18未満の年少者
三 妊娠中又は産後1年を経過しない女性従業員のうち本制度の適用除外を申し出た者
四 育児や介護を行う従業員、職業訓練又は教育を受ける従業員その他特別の配慮を要する従業員に該当する者のうち、本制度の適用除外を申し出た者
(対象期間)
第2条 1年単位の変形労働時間制は、平成○○年4月1日~平成○○年3月31日までの1年間を対象とする。
(勤務時間)
第3条 所定労働時間は、1年単位の変形労働時間制のよるものとし、1年を平均して週40時間を超えないものとする。
2 1日の所定労働時間、始業・終業時刻、休憩時間は、次のとおりとする。
6時間の日 午前8時30分 午後3時30分 休憩12時~13時
8時間の日 午前8時 午後5時 休憩12時~13時
9時間の日 午前8時30分 午後6時30分 休憩12時~13時
(休日)
第4条 変形期間における休日は、別紙「年間カレンダー」のとおりとする。
(特定期間)
第5条 特定期間は定めないものとする。
(有効期間)
第6条 本協定の有効期間は、平成○○年○月○日から平成○○年○月○日までとする。
平成○○年○月○日
株式会社○○
代表取締役社長 ○○○○ 印
○○労働組合
執行委員長 ○○○○ 印
弁護士法人四谷麹町法律事務所
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