労働問題628 「通常の労働時間又は労働日の賃金」とはどのような賃金のことをいうのか教えてください。

 労基法では、法定労働時間を超えて労働させた場合(時間外労働)、法定休日に労働させた場合(休日労働)、深夜(午後10時から午前5時)に労働させた場合(深夜労働)、一定の割増率以上の割増賃金(残業代)を支払わなければならないこととされています(労基法371項、4項)。
 この割増賃金(残業代)は、「通常の労働時間又は労働日の賃金」(割増賃金(残業代)の基礎となる賃金)に一定の割増率を乗じることにより算出します。
 以下の(除外賃金)にあたらない限りは、「通常の労働時間又は労働日の賃金」となり、すべて割増賃金(残業代)の基礎となる賃金に参入しなければなりません(小里機材事件最高裁昭和63714日判決)。
  家族手当
  通勤手当
  別居手当
  子女教育手当
  住宅手当
  臨時に支払われた賃金
  1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

 通達では、上記の手当は、名称のいかんにかかわらず、実質によって取り扱うこととされているため(昭和22913日基発17号)、手当に上記の名称がつけられていれば、割増賃金(残業代)の基礎となる賃金に算定しなくてもいいということにはならず、実質的にみて、除外賃金としてふさわしい内容であるか否かで判断する必要があります。
 たとえば、「家族手当」と称して1万円を支給したとしても、この「家族手当」が扶養家族数に関係なく一律で支給されている場合は、除外賃金として取り扱うことはできません。
 「臨時に支払われた賃金」とは、臨時的、突発的事由に基づいて支払われたものや、支給条件は予め確定しているが支給事由の発生が不確定であり、かつ、非常に稀に発生するものをいいます(昭和22913日基発17号)。具体的には、傷病手当金や加療見舞金等があります。
 「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」とは、賞与(金額が予め確定していないもの。)、1か月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当、1か月を超える一定期間の勤務に対して支給される勤続手当、1か月を超える期間にわたる事由によって算定される奨励加給又は能率手当等があります。

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