労働問題574 下請企業から従事者を受け入れて業務に従事させている発注企業は従事者に対して団体交渉義務を負いますか。
団体交渉義務を負う使用者について,最高裁は,雇用主以外の事業主であっても,雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ,その労働者の基本的な労働条件等について,雇用主と部分的とはいえ同視できる程度にかつ具体的に支配,決定することができる地位にある場合には,その限りにおいて,使用者に当たると判断していますので,団体交渉事項によっては雇用主以外の事業主であっても使用者として団体交渉義務を負うことがあります。
典型例としては,発注企業の業務を専属的に請け負ってきた企業が発注企業による単価の大幅値下げや請負契約の解約によって事業継続を断念し解散した場合に,請負企業の労働者が発注企業に対して雇用の確保などについて団体交渉を求めるものが挙げられます。