労働問題186 「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」に基づく制度の利用については、どのように考えていますか。
現在、「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」に基づく制度は原則として廃止されており、平成25年4月1日の改正法施行の際、既にこの基準に基づく制度を設けている会社の選定基準については、平成37年3月31日までの間は、段階的に基準の対象となる年齢が以下のとおり引き上げられるものの、なお効力を有するとされていますが、猶予期間が与えられているというに過ぎません。
① 平成25年4月1日~平成28年3月31日 61歳以上が対象
② 平成28年4月1日~平成31年3月31日 62歳以上が対象
③ 平成31年4月1日~平成34年3月31日 63歳以上が対象
④ 平成34年4月1日~平成37年3月31日 64歳以上が対象
今後は、既にこの基準に基づく制度を設けている会社についても、段階的に、「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」によって継続雇用する高年齢者を選別することができなくなります。
平成25(2013)年度に老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の65歳への引上げが完了し、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が61歳に引き上げられ、平成37(2025)年度までに65歳へ段階的に引き上げられることとなっていること(女性は5年遅れ)との関係で、現在、継続雇用されない高年齢者が年金も支給されないという事態を防止する必要性が高くなっています(「雇用と年金の接続」)。
このような流れからすれば、「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」に基づく制度の利用については抑制的であるべきと考えています。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎