労働問題156 休職制度を運用する上での注意点を教えて下さい。
休職制度の運用は公平・平等に行うことが大原則です。同じような状況にある社員の取扱いを異にした場合、紛争になりやすく敗訴リスクも高まります。差別的・恣意的な運用は裁判所が厳しく問題にする点であり、合理的理由を説明できる状態にしておくことが必要です。
1. 公平・平等な運用が大原則
休職命令の発令・休職期間の延長・復職の可否・退職扱い等の判断は、同じような状況にある社員の扱いを異にしないよう、公平・平等に行うことが大原則です。「あの社員のときは休職期間を延長したのに、この社員には延長しなかった」という事実は、紛争において「差別的な扱いを受けた」という主張の根拠になります。
同じような状況にある社員の取扱いを異にする場合は、裁判官が納得できるような合理的理由を説明できるようにしておくことが必要です。「この社員とあの社員は、こういう点で状況が異なるため、扱いが異なることに合理的な理由がある」と説明できる状態を作っておくことが重要です。
2. 就業規則に従った運用
休職命令・延長・復職・退職の各判断は、就業規則の規定に従って行うことが必要です。就業規則に定めのない運用(例:就業規則では休職期間が3か月なのに、特定の社員だけ6か月に延長した等)は、後に「就業規則違反」「差別的扱い」として問題になることがあります。
就業規則の規定と実際の運用が乖離している場合は、速やかに就業規則を整備し、整合性を確保することが重要です。
3. 運用の記録化
休職制度の運用に関する意思決定の経緯(なぜこの日に休職命令を発令したか、なぜ延長を認めたか、なぜ復職を拒否したか等)は、書面で記録を残すことが重要です。口頭での判断だけでは、後に「そのような判断はなかった」「別の理由で判断した」と争われた際に証明できなくなります。
4. 特定の社員への否定的感情を基準にしない
「この社員は気に入らないから早く退職させたい」「あの社員は真面目だからできる限り在籍させてあげたい」という個人的な感情を基準として休職制度を運用することは、不当労働行為・差別的取扱いとして訴訟リスクを高めます。就業規則に定めた客観的な基準に従って運用することが法的リスク管理の観点から不可欠です。
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弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日 2026/04/10