賃金形態別の割増賃金1時間単価の計算式(時給・日給・月給・歩合給)【会社側弁護士が解説】
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割増賃金の1時間単価は賃金形態ごとに異なる計算式で算出する(労基則19条) ①時給制=時給そのもの②日給制=日給÷所定労働時間数③週給制=週給÷週所定労働時間数④月給制=月給÷月平均所定労働時間数⑤歩合給制=歩合給÷総労働時間数。正確な算定が残業代の適正支払の基礎となります。 |
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除外できる賃金は7種類。名称ではなく実質で判断(労基則21条) 家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時賃金・1か月超の賃金のみ除外可能。名称だけ「家族手当」としても実質が異なれば除外できません。 |
目次
01割増賃金の計算における1時間単価の重要性
労基法37条に基づく割増賃金(時間外・休日・深夜)の計算式は次のとおりです。
割増賃金 = 1時間あたりの賃金単価 × 割増率 × 割増対象時間数
(時間外:125%以上 / 深夜:125%以上 / 休日:135%以上 / 時間外60時間超:150%以上)
この計算において「1時間あたりの賃金単価」の算定方法は賃金形態によって異なります。誤った算定は残業代の過少払いにつながる可能性があるため、各形態の計算方法を正確に理解することが重要です。
02各賃金形態の1時間単価の計算式(労基則19条)
労基則19条に基づき、賃金形態ごとの1時間あたりの賃金単価は以下のとおり算定します。
| 賃金形態 | 1時間あたりの賃金単価の計算式 |
|---|---|
| ①時給制 | その1時間あたりの金額(時給そのもの) |
| ②日給制 | 日給 ÷ 1日の所定労働時間数 (日によって所定時間が異なるときは1週間における1日平均所定労働時間数) |
| ③週給制 | 週給 ÷ 週の所定労働時間数 (週によって所定時間が異なるときは4週間における1週平均所定労働時間数) |
| ④月給制 | 月給 ÷ 月の所定労働時間数 (月によって所定時間が異なるときは1年間の1月平均所定労働時間数) |
| ⑤歩合給制 (請負給制) |
その賃金算定期間の歩合給総額 ÷ その賃金算定期間の総労働時間数 |
03月給制における所定労働時間数の算定
月給制では「月の所定労働時間数」が1時間単価の分母となります。月によって所定労働時間数が異なる場合は、1年間の1月平均所定労働時間数を用います。
計算例:年間所定労働日数240日・1日8時間の場合
1月平均所定労働時間数 = 240日 × 8時間 ÷ 12か月 = 160時間
月給200,000円の場合の1時間単価 = 200,000円 ÷ 160時間 = 1,250円
就業規則・労使協定に所定労働時間数を明記し、割増賃金の計算基礎を明確にしておくことが重要です。計算基礎が不明確な場合、残業代トラブルの原因となります(620番・622番も参照)。
04割増賃金の計算から除外できる賃金(7種類)
労基則21条に基づき、以下の賃金は割増賃金の計算基礎(1時間単価の分子となる賃金)から除外することができます(628番参照)。
⑤ 住宅手当 ⑥ 臨時に支払われた賃金 ⑦ 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
ただし、これらの手当の名称にかかわらず、実質的に労働の対価として支払われる固定的な手当(職務手当・業務手当等)は除外できません。名称だけを「家族手当」等とすることは無効と解されます。例えば、「家族手当」として一律同額を全従業員に支給している場合、実質は除外賃金にならないため、算定基礎に算入する必要があります。
05会社側の実務的留意点
② 除外賃金の実質的審査(算入除外とする手当が実質要件を満たすかを確認)
③ 定額残業代制度の適切な設計(有効要件・実際の時間外労働との対応を確認)
④ 賃金計算の記録保存(各労働者の計算根拠・時間外労働時間数の記録を5年保存・当面3年)
⑤ 不明点は弁護士・社会保険労務士に相談
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 月給制で役職手当・皆勤手当を支給している場合、割増賃金の算定基礎に含める必要がありますか。
A. はい、含める必要があります。役職手当・皆勤手当・精勤手当・職務手当・業務手当等は、労基則21条が定める7種類の除外賃金に含まれないため、原則として算定基礎に算入する必要があります。これらを除外していると未払残業代が累積するリスクがあります(628番参照)。
Q2. 歩合給制の割増賃金の計算で「総労働時間数」とは所定労働時間数だけですか。
A. いいえ、所定労働時間数と時間外労働時間数を合わせた実際の総労働時間数です。所定労働時間数のみで除すると時間単価が高くなり、割増賃金の計算が不正確になります。歩合給制では時間単価に割増部分(×0.25等)のみ追加で支払えば足りますが、分母の総労働時間数には全ての実労働時間を含める必要があります(623番参照)。
Q3. 月給制と歩合給制の両方を支払っている場合の計算方法はどうなりますか。
A. 月給制部分は月給÷月平均所定労働時間数で、歩合給制部分は歩合給÷総労働時間数で、それぞれ別々に1時間単価を計算し合算します(労基則19条2項)。月給部分は割増率を全部乗じますが(時間外なら×1.25)、歩合給部分は割増部分のみ(×0.25)追加で支払えば足ります(625番参照)。
最終更新日:2026年3月1日