労働組合法上の労働者性の判断の枠組みを教えてください。
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労組法上の労働者は、労基法上の労働者より広い概念 労組法上の労働者性は、労基法上の労働者性を包摂しつつ、団体交渉の保護を及ぼすことが必要かつ適切な類似の労務供給者にも範囲を広げた概念です。 |
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6要素の総合判断。⑥事業者性の実態が特段の事情として機能する ①〜⑤の要素で労働者性が肯定できそうな場合でも、⑥事業者性の実態の有無・程度を特段の事情として検討します。 |
01労組法上の労働者の定義(労組法3条)
労働組合法上の労働者は、「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」(労組法3条)と定義されています。
労基法9条が「事業に使用され、賃金を支払われる者」と定義しているのと比べると、労組法上の労働者は「これに準ずる収入によって生活する者」まで含まれており、文言上はより広い定義となっています。実際に、近年の最高裁判例は、労組法上の労働者概念が労基法上のそれよりも広いことを明確にしています。
02労基法上の労働者性との関係
労組法上の労働者性は、労基法上の労働者性を包摂しつつ、団体交渉の保護を及ぼすことが必要かつ適切な類似の労務供給者にも範囲を広げた概念となっています。そのため、労基法上の労働者性の判断と重なる部分があります(労基法上の労働者性の判断基準については586番参照)。
重要な実務上の意義は、労基法上の労働者性が否定されても、労組法上の労働者性が認められることがある点です。例えば、フリーランスや個人事業主として業務委託契約を締結している者でも、実態として一定の従属性があれば、労組法上の労働者として団体交渉権が認められる可能性があります。会社経営者としては、「業務委託だから組合の団体交渉に応じる必要はない」という判断が必ずしも正しいとはいえない点に注意が必要です(団体交渉義務については568番参照)。
03判断の枠組み(6要素)
労組法上の労働者性の判断枠組みは、まず①〜⑤の要素を総合して労働者性が肯定できそうかを判定し、肯定できそうな場合でも、なお⑥事業者性の実態の有無・程度を特段の事情として検討するというものです。
労組法上の労働者性の判断要素
① 事業組織への組込み
当該労務供給者が使用者の事業組織の中に組み込まれているか(専属的・継続的な労務提供関係が形成されているか)。
② 契約内容の一方的決定
契約内容が使用者によって一方的に決定されているか(個別交渉の余地がなく、提示された条件を受け入れるしかない状態か)。
③ 報酬の労務対価性
報酬が労務の対価として支払われているか(成果・物の提供に対してではなく、労務の提供に対して支払われているか)。
④ 業務依頼の諾否の自由
業務の依頼を断ることができるか(自由に諾否を決められない場合は、労働者性を肯定する方向に働く)。
⑤ 業務遂行への指揮監督・時間的場所的拘束
業務の遂行において指揮監督を受けているか、時間的・場所的に拘束されているか。
⑥ 事業者性の実態(特段の事情)
①〜⑤により労働者性が肯定できそうな場合でも、実際に独立した事業者としての実態(顕著な事業者性)があれば、特段の事情として労働者性を否定する方向で考慮される。
⑥の「事業者性の実態」は、労基法上の判断基準(586番)と重なる部分があります。ただし、労組法上の判断では、①〜⑤を総合的に評価した結果として労働者性が肯定できそうであれば、⑥は「あくまで特段の事情」として例外的に考慮されるという構造になっています。これにより、労基法上の判断より広く労働者性が認められる傾向があります。
業務委託・フリーランスとして役務提供を受けている場合、労組法上の労働者性が認められれば、団体交渉申入れへの応諾義務が生じます。具体的な対応については、使用者側弁護士に相談することをお勧めします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 業務委託のフリーランスから合同労組を通じて団体交渉の申入れがありました。応じる必要がありますか。
A. 業務委託のフリーランスであっても、労組法上の労働者と認められれば、団体交渉応諾義務が生じます。「業務委託契約だから団体交渉義務はない」と断定することはできません。①〜⑥の要素に照らして実態を確認したうえで、対応方針を検討する必要があります。申入れを受けた段階で、早期に使用者側弁護士に相談することを強くお勧めします(団体交渉義務については568番参照)。
Q2. 労基法上の労働者性が否定されれば、労組法上の労働者性も否定されますか。
A. 必ずしもそうではありません。労組法上の労働者は労基法上の労働者より広い概念であり、労基法上の労働者性が否定されても、労組法上の労働者性は認められることがあります。例えば、旭紙業事件(587番)や大工負傷事件(588番)のように労基法上の労働者性が否定された類型でも、労組法上は労働者性が肯定される可能性があります。
Q3. 「事業組織への組込み」とは、具体的にどのような状態ですか。
A. 「事業組織への組込み」とは、当該労務供給者が、使用者の事業活動に不可欠な一部として継続的・専属的に組み込まれている状態をいいます。具体的には、特定の会社の業務のみを専属的・継続的に行っており、その会社の事業運営上の重要な一翼を担っているような場合が典型例です。単発・スポット的な役務提供では組込みの度合いが低く、この要素の評価は弱くなります。
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最終更新日:2026年2月25日