過失相殺・素因減額と損益相殺は、どちらを先に計算すればよいか
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過失相殺・素因減額を先に行い、その後に損益相殺を行うという計算順序が最高裁判例で確立 鹿島建設・大石塗装事件最高裁昭和55年12月18日判決により、この順序が確立しています。逆の順序で計算することは誤りです。 |
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正しい順序で計算した方が、使用者の最終賠償額は少なくなる 損害額や給付額が大きくなるほどこの差は拡大するため、総賠償額の見積りと和解交渉戦略に直結する重要なポイントです。 |
過失相殺・素因減額と損益相殺の計算順序とは、損害賠償額を算定する際に、社員側の過失や素因による減額(過失相殺・素因減額)と、労災保険給付等の控除(損益相殺)のどちらを先に計算するかという問題をいい、最高裁判例により過失相殺・素因減額を先に行う順序が確立しています。安全配慮義務違反や不法行為による損害賠償請求を受けた場合、過失相殺・素因減額と損益相殺(労災保険給付の控除)が競合するケースでは、どちらを先に計算するかによって最終的な賠償額が変わります。
この計算順序については、最高裁判例(鹿島建設・大石塗装事件最高裁昭和55年12月18日第一小法廷判決)によって確立しており、会社側としてこの判例を理解しておくことは損害賠償額の見積りと和解交渉戦略において重要です。本ページでは、過失相殺・素因減額と損益相殺の計算順序について、会社側専門の弁護士が解説します。
01計算順序の原則|過失相殺・素因減額が先です
結論:過失相殺・素因(寄与度)減額と損益相殺(労災保険給付等の控除)が競合する場合の計算順序は、過失相殺・素因減額を損益相殺に先立って行うことが最高裁判例(鹿島建設・大石塗装事件最高裁昭和55年12月18日第一小法廷判決)により確立しています。
この計算順序は最高裁判例として確立しており、逆の順序で計算することは誤りです。実務上、損害賠償額の計算を行う際には、まず過失相殺・素因減額を行い、その後に損益相殺を行うという順序を守ることが重要です。
02計算順序が重要な理由(具体例)
結論:計算順序によって最終的な使用者の賠償額は異なり、正しい順序(過失相殺→損益相殺)の方が逆の順序よりも使用者の賠償額は少なくなります。具体的な数値例で確認します。
【前提】全損害額1,000万円、過失相殺30%(社員の過失)、労災保険給付200万円の場合を想定します。正しい順序(過失相殺→損益相殺)では、まず過失相殺後の損害額として「1,000万円×(1-30%)=700万円」となり、次に損益相殺として「700万円-200万円=500万円」が使用者の最終賠償額となります。逆の順序(損益相殺→過失相殺)では、まず損益相殺後の損害額として「1,000万円-200万円=800万円」となり、次に過失相殺として「800万円×(1-30%)=560万円」が使用者の最終賠償額となります。正しい計算順序の方が使用者の賠償額は500万円となり、逆の順序より60万円少なくなります。この差は損害額や給付額が大きくなるほど拡大します。
03実務上の意義と和解交渉への活用
結論:損害賠償請求を受けた場合は、過失相殺・素因減額の可能性と労災保険給付の受給額、両者の計算順序を正確に把握した上で、総賠償額の見積りと和解交渉戦略を立てることが重要です。安全配慮義務違反・不法行為に基づく損害賠償請求を受けた場合、被災社員の過失相殺・素因減額が認められるか・労災保険給付の受給額はいくらか・両者の計算順序を正確に把握した上で対応方針を検討します。
損害賠償額の計算・過失相殺・素因減額・損益相殺を含む賠償総額の把握と和解交渉戦略については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。
賠償額計算の比較|適切な対応/NGな対応
| ○ 適切な対応 | ✕ NGな対応(賠償額算定を誤るリスク) |
|---|---|
| 過失相殺・素因減額を先に行い、その後に損益相殺を行う | 損益相殺を先に行い、その後に過失相殺を行う(誤った順序) |
| 具体的な数値例で総賠償額を試算する | 概算のみで賠償額を見積もる |
| 計算順序を踏まえた合理的な和解提案を行う | 誤った計算に基づく和解金額を提示してしまう |
| 損害賠償請求を受けたら速やかに弁護士に相談する | 自社のみで複雑な計算を行う |
04よくある質問(FAQ)
Q. なぜ過失相殺を損益相殺より先に行うのですか。
損害賠償法の原則として、まず損害額を確定し(過失相殺等による調整を含む)、次にすでに受領した補填額(労災保険給付等)を控除するという順序が論理的です。最高裁はこの順序を採用しており、この順序が会社側にとっても有利に働く場合があります。逆の順序にすると、過失相殺の効果が薄まることになります。
Q. 和解交渉においてこの計算順序はどのように活用できますか。
和解交渉において、会社側としては過失相殺・素因減額の可能性を最大限に主張した上で、その後に損益相殺(労災保険給付済み額の控除)を行うという計算式を用いて最終的な賠償額の見積りを示すことができます。この計算に基づいた合理的な和解金額の提案は、交渉の進展に役立ちます。具体的な和解交渉戦略については弁護士に相談することをお勧めします。
Q. 損害賠償請求を受けた場合、まず何をすべきですか。
損害賠償請求を受けた場合は、速やかに会社側専門の弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、損害額の妥当性の検討・過失相殺・素因減額の可能性・損益相殺の範囲・弁護士費用を含む総賠償額の見積り・和解交渉戦略の策定など、会社側の立場から包括的にサポートを提供します。早期の法律相談が、最終的な解決コストを抑える上で重要です。
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。損害賠償額の計算・和解交渉戦略でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
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最終更新日:2026年7月10日