この記事の結論
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「遅滞なく」要件は比較的緩やかに解釈される。数週間程度は範囲内、数か月は「遅滞」のリスクが高まる

法律に詳しいわけではない労働者側に要求される要件であることが考慮されます。

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雇止め後の社員の異議表明は、時期・内容・方法を記録に残すことが重要

雇止め後に申込みがあった場合は、直ちに弁護士に相談することをお勧めします。

 労契法19条の「当該契約期間満了後遅滞なく」とは、有期労働契約の期間満了後に労働者が締結の申込みを行う際に求められる時期的要件をいい、使用者が長期間不安定な法的状態に置かれ続けることを防止する趣旨で設けられています。有期労働契約の契約期間が満了した後に、労働者が「締結の申込み」を行う場合は「当該契約期間の満了後遅滞なく」申し込む必要があります。しかし、この「遅滞なく」という要件がどれくらいの期間を意味するのかは明確には定められていません。

 本ページでは、「遅滞なく」要件の解釈と実務上の注意点について、会社側専門の弁護士が解説します。

01「遅滞なく」要件の趣旨

 結論:労契法19条が適用されるためには、有期契約労働者による締結の申込みは「当該契約期間満了後遅滞なく」なされる必要があり、この要件は使用者が長期間不安定な法的状態に置かれ続けることを防止する趣旨で設けられています。この要件が加えられることにより、法的安定性に資することになります。

02「遅滞なく」は比較的緩やかに解釈されます

 結論:「当該契約期間の満了後遅滞なく」という要件は、法律に詳しいわけではない労働者側に要求される要件であることを考慮し、比較的緩やかに解釈されることが予想され、少なくとも数週間程度は範囲内、数か月となると「遅滞」とみなされるリスクが高くなると考えられます。契約期間満了後に日数が経過していても、申込みが遅れた事情(労働者が雇止めに異議を述べようとしていた事情)がある限り、「遅滞なく」の要件を満たすと評価される可能性が高いといえます。

 具体的にどれくらいの期間であれば「遅滞なく」に当たるかは、事案の個別の事情(雇止め通告の時期・労働者の行動・弁護士への相談・申込みを遅らせた理由など)によって判断されることになります。

03実務上の注意点|雇止め後の対応

 結論:雇止め後も労働者から異議の意思表示が来た場合はその時期・内容・方法を記録に残すことが重要であり、「遅滞なく」の要件を満たすかどうかが後の紛争で争点になる可能性があります。労働者から「働き続けたい」「雇止めは不当だ」などの意思表示が来た場合は、その時期・内容・方法を記録に残してください。

 雇止め後に申込みがあった場合は、直ちに弁護士に相談することをお勧めします。有期契約社員の雇止め後の申込みへの対応・労契法19条の要件評価については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。

雇止め後対応の比較|適切な対応/NGな対応

○ 適切な対応 ✕ NGな対応(申込み見落としのリスク)
雇止め後の社員からの意思表示を時期・内容とも記録する 口頭のやり取りのみで記録を残さない
申込みが遅れた事情の有無を確認する 経過日数のみで機械的に判断する
雇止め後の申込みには直ちに弁護士に相談する 「もう手続は終わった」と対応を放置する
労働審判等に発展する可能性を踏まえて準備する 準備なく紛争に臨む

04よくある質問(FAQ)

Q. 雇止め後1か月経ってから社員が「働き続けたい」と言ってきた場合、「遅滞なく」の要件を満たしますか。

1か月程度であれば「遅滞なく」の範囲内と評価される可能性がありますが、個別の事情(申込みが遅れた理由・申込み前の社員の行動・弁護士への相談経緯等)によって判断が異なります。このような状況になった場合は、速やかに弁護士に相談して対応方針を決定することをお勧めします。

Q. 労働審判が申し立てられた場合、「遅滞なく」の判断はどのようにされますか。

労働審判においても、申込みが契約期間満了後「遅滞なく」なされたかどうかは、申込みの時期・申込みが遅れた事情・申込みの内容等を総合的に考慮して判断されます。労働審判は申立てから3回以内の審問で解決を図る迅速な手続ですが、この争点も含めて対応することになります。労働審判への対応については弁護士に相談することをお勧めします。

Q. 「遅滞なく」の要件を満たさないことを会社側として主張できますか。

「遅滞なく」の要件を満たさないことは会社側の主張として有効です。ただし、前述のとおり比較的緩やかに解釈される傾向があり、申込みが遅れた合理的な理由があると判断される場合は主張が通らない可能性があります。具体的な主張の可能性は個別事情によりますので、弁護士に相談することをお勧めします。

経営上のポイント 「遅滞なく」要件は法律に詳しくない労働者側に求められる要件であることを考慮し、比較的緩やかに解釈されます。少なくとも数週間程度は範囲内、数か月となると「遅滞」とみなされるリスクが高まりますが、具体的な判断は個別事情によります。雇止め後の社員の異議表明は必ず記録に残してください。労契法19条により雇止めが制限された場合の法律効果とあわせて、雇止め後の対応について会社側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。有期契約社員の雇止め後の申込みへの対応でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月10日


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