有期労働契約にはどのような類型があり、雇止めリスクはどう違うか
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有期労働契約は「純粋有期契約タイプ」「実質無期契約タイプ」「期待保護タイプ」(2類型)の4つに分類される 「有期労働契約の反復更新に関する調査研究会」が38件の雇止め裁判例を分析して整理した類型です。 |
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会社が目指すべきは「純粋有期契約タイプ」。自社がどの類型かの把握が雇用管理の出発点 業務の臨時性・厳格な更新手続・雇止め前例の存在等がその要件となります。 |
目次
有期労働契約の類型とは、「有期労働契約の反復更新に関する調査研究会」(平成12年9月報告)が雇止め裁判例を分析して整理した、純粋有期契約タイプ・実質無期契約タイプ・期待保護タイプ(2類型)という4つの分類をいい、どの類型に当たるかにより雇止めのリスク評価が大きく異なります。自社の有期契約がどの類型に当たるかを正確に把握することは、雇用管理の出発点です。
本ページでは、有期労働契約の類型について、会社側専門の弁護士が解説します。
01調査研究会による類型分析
結論:「有期労働契約の反復更新に関する調査研究会」は38件に及ぶ雇止め裁判例を分析し、平成12年9月に報告書を発表し、有期労働契約を4つのタイプに類型化しました。
02タイプ①:純粋有期契約タイプ(雇止めリスク低)
結論:タイプ①「純粋有期契約タイプ」は契約期間の満了によって当然に契約関係が終了するタイプであり、業務の臨時性・厳格な更新手続・雇止め前例の存在等が特徴で、雇止めに合理的理由は不要です。業務内容の臨時性・季節性が認められること・契約当事者が有期契約であることを明確に認識していること・更新の手続が厳格に行われていること(毎回契約書を作成・押印)・同様の地位にある労働者に過去に雇止めの例があること、などの特徴が認められます。
このタイプでは、雇止めはその事実を確認的に通知するものに過ぎず、雇止めに合理的理由は不要です。会社が目指すべき有期契約の形がこのタイプです。
03タイプ②:実質無期契約タイプ(労契法19条1号)
結論:タイプ②「実質無期契約タイプ」(労契法19条1号)は期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っているタイプであり、ほとんどの事案で雇止めが認められず、正社員の解雇と同等のハードルがかかります。業務内容が恒常的であること・更新手続が形式的(契約書を毎回作り直さない・自動更新)であること・雇用継続を期待させる使用者の言動があること・同種の地位にある労働者に雇止めの例がほとんどないこと、などの特徴があります。
04タイプ③・④:期待保護タイプ(労契法19条2号)
結論:タイプ③・④「期待保護タイプ」(労契法19条2号)は雇用継続への合理的な期待が反復更新の実態または契約締結時等の事情から認められるタイプであり、それぞれ異なる特徴と雇止め判断の傾向があります。タイプ③は雇用継続への合理的な期待が反復更新の実態から認められるタイプです。更新回数は多いものの、業務内容が正社員と同一でないものも多く、同種の労働者に対する雇止めの例もあります。経済的事情による雇止めについては、正社員の整理解雇とは判断基準が異なるとして雇止めを認めた事案も見られます。
タイプ④は雇用継続への合理的な期待が当初の契約締結時等から生じているタイプです。更新回数は概して少なく、契約締結の経緯等が特殊な事案が多いです。当該契約に特殊な事情の存在を理由として雇止めを認めない事案が多い傾向があります。自社の有期契約がどの類型に当たるかによって、雇止めのリスク評価・必要な対策が大きく異なります。既存の有期契約社員の雇用管理実態を弁護士に確認してもらうことで、リスクの把握ができます。弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。
類型維持の対策比較|適切な対応/NGな対応
| ○ 適切な対応 | ✕ NGな対応(実質無期化のリスク) |
|---|---|
| 業務の臨時性を明確にし更新手続を厳格に行う | 恒常的業務を担当させながら自動更新で運用する |
| 同種労働者に雇止めの前例を作る | 一度も雇止めをしたことがない状態を続ける |
| 自社の有期契約がどの類型かを弁護士に確認する | 類型を把握せず場当たり的に雇止めを検討する |
| 純粋有期契約タイプを目指した制度設計を行う | 実質無期契約タイプに陥っていることに気づかない |
05よくある質問(FAQ)
Q. 自社の有期契約がどのタイプに当たるかはどうすれば分かりますか。
契約書の作成状況・更新手続の実態・担当業務の性質・会社側の言動・同種社員の雇止め実績などを確認することで、おおよその類型が分かります。ただし、複数の要素が絡み合っているため、正確な類型判断には弁護士による確認が必要です。特に雇止めを検討している場合は、事前に弁護士に相談することを強くお勧めします。
Q. タイプ②(実質無期)と評価されたら、有期社員を解雇できなくなりますか。
タイプ②と評価された場合でも、客観的合理的理由と社会通念上の相当性があれば雇止めは可能です。ただし、正社員の解雇と同等のハードルが求められるため、経営上の必要性・本人の能力や勤務態度・十分な対応プロセスなど、適切な手順を経ることが求められます。タイプ②の社員の雇止めを検討する場合は、必ず弁護士に相談してください。
Q. タイプ①(純粋有期契約)を維持するための最低限の対策は何ですか。
タイプ①を維持するためには、毎回きちんと契約書を作成・押印させること(自動更新にしないこと)・「更新しない場合がある」旨を契約書に明記すること・継続雇用を約束するような発言を慎むこと・定期的に雇止めの実績を作ることが重要です。これらの対策を組み合わせることで、タイプ①の有期契約を維持することができます。
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。有期契約の類型診断・雇止めリスクの評価でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
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最終更新日:2026年7月10日